Yui

神のゆらぎのYuiのレビュー・感想・評価

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
4.0
「飛行機が落ちるのは、全能の神が存在しないからだ」


"神"はいるのか。
この世は理不尽な事に溢れ、どうしようもない事が多々あり、振り返った時、あの小さな1つが違っていたなら、右じゃなく左を選んでいたなら、そんな風に思う分かれ道は誰にでもある。
人の生死に関わる事なら尚更の事。

この作品は、数人の人生が袖が触れ合うような距離感で交差し、ゆっくりと穏やかに、でも確実に問いかけてくる。

生きるとは?死ぬとは?
信仰とは?罪とは?神とは?愛とは?

ドラン出演作品という事で観始めたけど、信仰のない私や多くの日本人にも分かりやすく面白かったし、観終わったら、邦題の秀逸さに久しぶりに胸がざわっとした。

ドラン演じる青年とそのフィアンセの看護師はエホバの証人で、キリスト教との大きな違いは"三位一体の否定" "血に触れる事への拒否" "復活という概念の違い"で、輸血が出来ないのが本作の大きなポイント。

考えれば考えるほど深い作品で、終わった後の余韻も深く長い。"無宗教"だって、信じる神を持たないという名の信仰かもしれない。

運命って、奇跡って、偶然ってなんだろう…。
Yui

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