Toineの感想文

獣は月夜に夢を見るのToineの感想文のレビュー・感想・評価

獣は月夜に夢を見る(2014年製作の映画)
3.4
【呪われた血筋と救済】
淡々とした映像美と静かさが個人的にハマる。
どんよりとした曇りの天気。
絶妙な灰色の空。
流れて行く雲。風の方向。
オープニングカットから北欧映画の良い所がたくさん観られる作品でした。
主張少なめの劇伴も非常に美しかった。
台詞は少なくとも登場人物の目線や表情で状況や気持ちが察せる演出。
とてもシンプルで素晴らしいです。

主人公の少女マリーさんのお父様役がマッツ様のお兄様ラース・ミケルセン様でした。
やったー!

映画開始30分くらいに彼女が見た夢の断片と邦題で物語の予想がついてしまったけれど魅せ方が上手いので途中離脱せずに最後まで鑑賞できました。
「ぼくのエリ(2008)」と「RAW〜少女のめざめ〜(2016)」を思い起こさせるある秘密を抱えた主人公の青春映画という印象です。

女の子の身体の変化と繊細な心の動きに萌えました。
主役を男性ではなく女性にしたのが大正解だなと思います。
美と醜の間(はざま)の描写がたまらん。

後は田舎の陰湿な嫌がらせとかも妙にリアリティーがあって胸クソでした。
何もしてないのにわざわざ傷付けて来る人たちってどこにでも居るんだなって。
我慢してるマリーさんが健気で理不尽で。
何とも言えない気持ちになりました。
ただ彼女には味方、純愛という救いがあってそれだけは本当に良かったなって思いました。