晴海通り

グランドフィナーレの晴海通りのレビュー・感想・評価

グランドフィナーレ(2015年製作の映画)
3.7
全編に詩的な奥行きを感じる。開放的で、暗示的で、静謐で。

原題は『Youth』ながら、テーマは完全に老いについて。かつて努力もせず有していた若さというもの。健康や柔軟さや性欲に代表されるそれは、気付けば喪われている。憧れるそばから、指の間からこぼれ落ちていく。

老いの辛さは、自らが歩んできた過去が大きすぎること。全てが遠くに見えながら、しかし確実に「ある」。その過去が重すぎたとき、人は様々な手段で自らの錘を断つのかもしれない。

天国みたいなホテルで過ごす隠遁の日々。しかしそこでも男は女を求め、女は男を欲する。愛に傷つきながら。生きるって結局そういうことだから。多分。自由になんかなれないのだよ。
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