とりさん

サウルの息子のとりさんのネタバレレビュー・内容・結末

サウルの息子(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

まずは・・・史実云々は下の方に記載しようと思いますので、素人なりの映画の感想など・・・。

出だしのシーンがピンボケで「あれ?放送規制とかかなぁ^^;」と思わせますが、やがてそのピンボケは主人公サウルの視野で撮影されている事に気付かされます。
このピンボケ、すごくイイ!
もう、自分がサウルになった感じで収容所に収容された気分になります。
もうこのリアル感、トラウマになります。(笑)
密室恐怖症になる気持ちホント分かる(;'∀')←怖すぎてしばらく自宅に帰れずマックに立ち寄った人

そんな感じで、恐怖と闘いながら不思議に思ったのが、サウルの息子さんは本当に息子さんだったんでしょうか。

・収容所に来てか4ヶ月ほど経ち、周囲の人が気付くほど精神状態が悪くなっている
・息子が出来たのがいつと言えない
・息子の名前を言えない
などなど・・・

ラストシーンで金髪の子供に向かってほほ笑んだサウルを見た時にこう推測しました。
サウルの息子は息子ではなく、先がない自身がこの世に生きた証が欲しかった、息子の埋葬=自身の埋葬の意味だった事。
未来を託したい存在が欲しかった事。
サウルは誰かに自分が生きた事を覚えていて欲しかったんじゃないかのかと。

ここまでが、映画の感想ですが・・・。
私事で、この映画を観る前にクローズドライズマン監督の ショアとそのシリーズを観てしまい、ユダヤ虐殺についてちょっとしたうんちくが出来てしまった為、映画中の内容につい史実を照らし合わせてしまいました。^^;;

こう言う戦争絡みの映画の感想で「史実は・・・」と言われる方がいらっしゃいますしその気持ちも分からなくない。
私個人としては「映画は人それぞれの視点で感じる娯楽。」だと思っています。
でも、照らし合わせたい気持ちも分からなくないので、下に記載させて頂き見る見ないは、この感想を見る皆様にお任せしたい思います。^^
※これより下が照らし合わせなので、観たくない方はここでページをお閉じ下さい。(ちょっとスペース開けときます)







【私的にちょっとした考察とツッコミ入れてた箇所】

①サウルの言葉がハンガリー語
 →と言う事はサウルはハンガリー系ユダヤ人の可能性が濃厚ですね。
  ゾンダーコマンドは収容される一般人から体力がある男性が選ばれます。
  ハンガリーからアウシュビッツへの移送は比較的距離が短いので、到着時にサウルに余力があったからゾンダーコマンドに選ばれたのかなと推測しました。
  ゾンダーコマンドは、ずば抜けて身体能力が高さそうなユダヤ人が選ばれるので、サウル自身の身体能力が元々高いとも推測できます。
  もしも、サウルの息子が本当の息子なら、サウルの身体能力を受け継いでいる可能性があり、ガス室から生還した理由も納得できますね。
  ※ガス室内では生存本能で、弱い者を踏みつけて強い者は扉前の人の上に行く習性があるので大抵の子供は押しつぶされて原型を留めていないそうです。

②ガス室に入るのは男女一緒?
 →ガス室内は男女一緒としても、入室の際は男性が先、女性はその後だったみたいです。
  これも、気付いて抵抗したら面倒な男性は追い立ててガス室に先に入れて、女性は優し言葉を掛けながら入室させる方法が一番効率的な為、男女一緒に入らせる事はあまりなかったようです。

③穴での銃殺
 →ストーリーの流れから推測すると、穴での銃殺は1,000人。
  1,000人の人間を銃殺やら火炎放射器での焼死やら・・・戦争状態になって効率悪すぎですって^^;
  ドイツ人がそんな効率の悪い事を収容所でやらないと思います。
  ユダヤ人虐殺の歴史で収容人数を越える移送が数年続いた時があり、その際は列車内に留めておいたそうです。
  Twitterのまとめに「ユダヤ人移送の列車は、通勤ラッシュ時の混みように比べたら天国」みたいなまとめがありましたが、その状態で食べ物も水も与えられず数日間の移動なんですけどね・・・。
  なおこの状態で数日の間、季節により多少前後しますが留められたユダヤ人5,000人が強制収容所に向かう際は3,000人になっていた時もあるそうです。

  そして、よく言われる「なんでユダヤ人を大人しくガス室に向かわせる事ができたのか。」
  これについて疑問に思われた方は、是非ショアをご覧ください。
  ※なお私は、ショアと併せて屠殺場での牛や豚について、以前本を読んだ事があった内容で「あ、この心境解るーー;」と腑に落ちました。

④武装蜂起
 →ゾンダーコマンドの初期はユダヤ人同士での結託を防ぐため、半地下の独房に入れられる程の厳しい規制でしたが、熟練した人材を使いたい意向から徐々に緩くなっていったそうです。
  映画のシーンで好戦的な他国のゾンダーコマンドは恐らくロシア人ではないかと・・・言葉が不明な為、個人的な推測です。
  ドイツ軍は、ここら辺の監視はキッチリしていたようで、武装蜂起前にバレて殺されてしまった人が大半だそうです。
  では、ゾンダーコマンドの反乱についての史実はないかと調べた所、「トレブリンカ収容所の反乱」がありました。
  詳しくは下記のサイトをご覧ください。

  ■ホロコースト百科事典
  https://www.ushmm.org/outreach/ja/article.php?ModuleId=10007747

ここまで、読んで頂いた方に感謝とご興味ありましたらショアもご覧くださいm(_ _)m
そして、この映画を観た私が気になったのは、映画のドイツ人って日本人当てはめても行けそうな位気質似てますね。
監督がハンガリー出身と言う事でうので、第三者視点から視たドイツ人ってこんなイメージなんだなぁと思いました。
これがこの映画を観た一番の恐怖と言う事で・・・^^;

お読みいただき、ありがとうございましたヾ(≧▽≦)ノ
とりさん

とりさん