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ロブスターのJのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.2
・物語★★★★
・配役★★★★
・演出★★★★★
・映像★★★★
・音楽★★★★

ー子どもは?
いません。
ー犬は?
兄です…。

こんなシュールでブラックなセリフが、奇想天外なストーリーのあちこちで登場する。
それでいて決して軽い作品ではなく、愛や結婚、社会のルールについて深く考えさせられる。
ブラックコメディのような、ダークファンタジーのような、SFのような、社会派ドラマのような…極めて不思議な映画。

舞台は、ホテルと森の2部構成。
舞台の転換に近づくにつれ、"狩り"というもののディテールが明らかになるという演出がおもしろい。
いずれの舞台においても厳しいルールと制約が課せられるという設定も興味深い。
動物に変えられるのは怖いが、"赤の接吻"とか"赤の性交"も恐ろしい…‼︎

テーマは様々な問いかけを孕んでいるが、解釈については観客に委ねる部分が多い。

・ルールから逃れることの意味とは?
・「パートナーを探すこと=共通点を探すこと」の方程式がもたらす結末とは?
・ウソの上にカップルの関係は成り立つか?
・究極の選択を迫られたとき、自分とパートナーどちらの死を選ぶのか?
・シングルでいることの自由と制約とは?

特にラストシーンの解釈については、いろんな人と語りたくなる!

C・ファレルの演技は、まるで別人かと思うほど。ウソを隠そうとするシーンは、素直に巧い!と思わされる。
"近視の女"R・ワイズの、シーンにより様々変わる表情も印象深い。
"独身者たちのリーダー"L・セドゥもカリスマ的なハマリ役。カッコイイ!
"足の悪い男"B・ウィショー、"滑舌の悪い男"J・C・ライリーや、"鼻血の出やすい女"、"心のない女"のキャラクターもそれぞれ個性豊かでおもしろかった。

音楽も◎。
エレガントな雰囲気とダークな雰囲気、いずれのシーンでも劇中における効果を如何なく発揮していた。

忘れた頃に、また観たい。

劇場用パンフ★★★
全22ページ
本作の世界観の緻密なまでの解説は◎。
ただ、監督・キャストのインタビューが全くないのは少し残念。
徹底して解釈を観客に委ね、製作側の正解どころかヒントも与えない姿勢の表れか⁉︎
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