森村バイヲ

ロブスターの森村バイヲのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
5.0
「恋愛」という物に対するあるひとつの寓話。
「共感/共通点」による他者同士を結び、カップルという「同一性」を育むこと、その擦り合わせを行うことが「人間的」であり、そこから外れると動物へと変身させられてしまう。現実を極度にデフォルメした世界観ではあるが、そのデフォルメされた物の連続は現実との接続/切断を繰り返し、「恋愛」から様々な現実的要素を抽出する。
所々に挿入され示唆される「語り部」存在や、言葉に表されない感情部分を映像・音楽・演技で魅せ解釈をさせる三人称的なカメラワーク、カフカ的な不条理とその滑稽な仕草は主体への理解を拒絶し、ただ映るものへと向き合わされる。そしてその向き合う視聴者の姿を映る画面に重ねて映す、映画らしい映画とも言えよう。
森村バイヲ

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