みかんぼうや

ロブスターのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.5
「聖なる鹿殺し」「女王陛下のお気に入り」に続くヨルゴス・ランディモス作品3作目に挑戦。

先に観た2作品同様、序盤から感じる不穏な空気感。そして、家庭を築こうとしない“独身者=悪”とする強烈な設定。半ば強制的にでもパートナーを作らせようと試みるホテルへ収容される主人公。そして、期限までにパートナーができなければ自分が望む動物の姿に変えられてしまうという謎のルール。

奇天烈?イカれてる?と思わせる超ユニークでブラックな設定は、常識で考えると最悪だが、映画として考えると、なんともそそられワクワクする。ということもあり、前半はかなり釘付けだったのだが・・・

後半の展開が思いのほか弾まず・・・というよりも、想定していた方向と大きく異なる展開で、ダラダラとし始め、だんだん退屈に。最後は集中力が落ちて、久しぶりに睡魔で首がカクカク状態。

「聖なる・・・:」でも感じたが、作品最初の不気味な設定や独特の空気感がとても魅力的なのに、その現実社会に溶け込んだ種のブラックファンタジー的な設定からか、中盤以降の展開にあまり話の筋やまとまりを感じられず、収拾つかず強引にラストまで持っていった印象を感じてしまった。

ちなみに、設定や物語の内容は全く異なるが、狭いコミュニティの中に閉じ込められ常識では考えられない不思議なルールや慣習に従わねばならないという意味では、どこか「ミッドサマー」に近いものを感じた。ただ、あちらはそれを分かりやすい宗教というフォーマットを使って常識人がこれでもかというくらい意図的に非常識を演出して盛り込んだ印象があるのに対し、本作は、一般社会の中にそのぶっ飛んだ規律を馴染ませていることに加え、そもそもの登場人物のパーソナリティの異様性、独特の映像の構図からも、やはりランディモス監督が持つ天性の独特な感性をいたるところで感じる作品だった。
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