僕らはいつだって不自由だ。
40過ぎても独身だったら家族や会社から白い目で見られるし、結婚相手に求めるべき条件はまとめサイトに押し付けられる。
LGBTのカップルは腫れものみたいに扱われなきゃならないし、生活のために見知らぬ男のところに嫁に行かねばならない。
パートナーと共に暮らすのに、あるいは一人で生きるのに、誰かの命令や承認が必要な道理なんてないのにさ。
印象的だったのはナレーション。
デヴィッドの半生を振り返るような三人称から、二人の密やかな愛を語る一人称を経て、断絶された手記へ。
ある種叙述トリック的な語りの変化と同時に、確かにあったはずの彼の未来も、現在進行形の愛も、システムに飲み込まれていく。