明宏

ロブスターの明宏のレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
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振り返って観て面白かったので感想を書き直した。
マネージャーとリーダーそれぞれが率いるコミュニティの対称性がまず面白い。一方は強制的に恋愛をさせるがもう一方は恋愛を全面的に禁ずる。恋愛をしなきゃ死ぬ(厳密にはどうぶつにされる)というなら嘘をついてでもカップルになった方がいいというのが足の悪い男(ベン・ウィショー)の立場。他方恋愛をしたら殺されるという酷過ぎるキャンプでそれでも恋に落ちてしまったのがデヴィッド(コリン・ファレル)。
そして足の悪い男と鼻血の女のカップルに、デヴィッドは男の鼻血は嘘だと 告発することで破綻させようとするけれど、失敗して追い出されてしまう。おそらくこのカップルは鼻血の嘘がわかったところで恋愛関係は続いていくだろう。
この物語の中ではカップルが何組が出てくるけど、みな「その愛が真実かどうか?」という問いを投げかけられることになる。
施設のマネージャー(オリヴィア・コールマン)とその夫はキャンプのリーダー(レア・セドゥ)に自分が生き残るために相手を殺さなきゃ行けないという脅迫をされて、夫は妻を撃つが空砲だった。ニヤッとわらってリーダーはその場をさる。残された2人の恋愛関係はほぼ確実に破綻する。本当に相手を思うなら自分が死ぬべきだろ?と言うような悪趣味な方法によって。
エンディング、デヴィッドと失明させられた女の2人の愛が試される。デヴィッドは恋人と生きていくため同じように失明するという犠牲を払うと約束したようだが、それが果たされるかどうかはわからない。それが達成されたところで2人の関係が続いていく保証もないし、デヴィッドがそれを出来なかったとしてもこの2人の関係は続いていくかもしれないし。
総じて、「恋愛というのは常に試されるし、常に破綻する可能性がありつづける奇妙な感情、行為」だということを言っててそれを突飛な設定で面白く見せてくれる。

この物語の中でレア・セドゥは恋愛を否定している人間なんだけど、この人はどうなったと考えるべきだろ。ちょっとまだ考えたい。
明宏

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