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ロブスターのカポERRORのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.8
☠検証☠
【人間は7時間33分ノンストップで、ヨルゴス・ランティモスの精神攻撃を受け続けられるのか?/その②『ロブスター』】

ヨルゴス・ランティモスの拷問、二本目は『ロブスター』である。
前回同様あらすじは割愛するので、概要はFilmarksのあらすじ欄を参照頂きたい。
いよいよ〖夜越す組(ヨルゴス組)〗とも称される(嘘つけ!)実力派俳優陣、コリン・ファレル、レイチェル・ワイズ、オリヴィア・コールマンの登場だ。
コリン・ファレルは『聖なる鹿殺し』でも主演。
レイチェル・ワイズとオリヴィア・コールマンは『女王陛下のお気に入り』でメインキャラを演じている。
先に観た『籠の中の乙女』はヨルゴス・ランティモス監督が自国ギリシャで手掛けたギリシャ語の作品だが、同作で評価を受けた彼が、初の英語作品として世に送り出した作品がこの『ロブスター』となる。
前回のレビューで書いたが、本作でも監督のこだわり自体は全くブレずにありつつ、それでいて映像や演出が非常に洗練されており、その後のヨルゴス・ランティモス監督の飛躍的な進化を予感させる作品となっていた。

さて、内容について私がまず言いたいのは、「いやいや、殺されたり動物にされるくらいなら、ちょっとくらい妥協・譲歩してでも誰かと交渉して結婚するだろ普通!」ということだ。
最後の日なのに決してプライドを捨てず妥協しないキャラクターとか、全く理解が出来ない。
その点では、180号室のビスケットの女性が一番まっとうだと思った。
自死を選んだ可哀想な彼女。
もしも私があの場にいたら、少々歳を重ねて疲れ果てた風貌であったとしても、喜んで誘いに乗っただろう。
熟女フリークは伊達ではないのだ。

興味深かったのは、レジスタンスのリーダー宅でのシーン。
リーダーの両親が奏でるギターのムーディな曲調に乗せられて、デヴィッドと近視の女がディープ過ぎるラブシーンを繰り広げるのだ。
チャオチュールにまっしぐらでがっつく猫もドン引きするくらい、むさぼっていて笑った。
盛り付きすぎ!
やはり禁欲生活に身を置き、ひょんなことで解き放たれるとあのようになるのだろうか。
人間も動物なのである。

本作のラストも前作同様に「さて、この後どうなるの?」系の余韻を持たせた長回しで締めくくられるのだが、私はこちらも好みに合った。
実は中盤まで、もっと最悪なラストを個人的に予想していたのだ。
それは、デヴィッドがレジスタンスに入る際に言われた〖赤の接吻〗ならぬ〖赤の性交〗に他ならない。
どう考えてもフラグだよな…とビクビクして観ていたのだが、ミスリードで本当に良かった。
それを見せられていたら…恐らくこのヨルゴス・チャレンジも2作目途中でリタイヤしていたであろう。
『ミッドナイト・スワン』のレビューで綴った通り、私は局部の生々しいゴア表現が生まれつきNGな人間なのだ。

総じて言えば…あくまで身勝手な私の感想だが、本作、今回観た4作の中では一番精神的な負担が少ないユーザーフレンドリーな作品だったように思った。
だが、それは逆に”刺激が少なく面白みに欠ける”とも言えてしまう。
この4本に私が順位を付けるとするならば、本作が4位。
とは言え、十分に楽しめる作品だし、Filmarksのスコア以上に私は評価したい。

2作目を見終わって、我がHPは60/100。
試練の3作目に続く。
『ロブスター』は現在U-NEXTで見放題配信中。
RakutenTVとTSUTAYAオンデマンドでレンタル配信中。
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