垂直落下式サミング

アリのままでいたいの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

アリのままでいたい(2015年製作の映画)
3.5
昆虫写真家の栗林慧先生が撮影した映像を大迫力でみせるキッズ向けネイチャードキュメンタリーだ。皇室の悠仁さまも御鑑賞されたことで話題となり、私も劇場公開時に3D版を観に行った。
入場時に組み上げるとクワガタ虫になるブロック型のプラモデルを貰った気がする。この微妙な入場特典がこの映画の内容を暗に示していたのであった。
昆虫たちの映像は圧巻。劇場映えする素材ばかりだ。それをただつなぎ合わせるだけでは芸がないので、子供向け映画としてみせるための工夫がなされている。大人がなんとかして子供を喜ばせるために作った映画なのは間違いないのだろうけど、そのセンスがいろいろとおかしい。
この映画…客層を意識してか虫の映像の合間にアニメ等が挿入されるのだが、それがことごとく劇場にフィットしていない。子供のころに親父が得意気に買い与えてくれたオモチャのなんか絶妙にコレジャナイ感じの雰囲気に似ている。
地獄のミサワの漫画を好む児童なんてクラスに一人か二人だ。あれは杉作J太郎や蛭子能収とかと同じ部類のビョーキ系の漫画家(失礼)であって、本来子供がみるものじゃない。
大人が子供が欲しがるだろうと思っているものと、実際に子供の好きなものってかなりズレているし、子供の趣向を知らない人って本当に何も知らないんだなということを再確認した。
映像製作のプロがこれを大真面目に作ったんだとしたらちょっと引いてしまうが、「子供はきっとこういうのが好きなんだろう」「こういうのを取り入れたら子供は喜ぶだろう」と、映像素材の提供をした栗林先生の意向もあって、それを律儀に取り入れた結果…変な感じになってしまったのかもしれない。そう考えると萌える。