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最強獣誕生 ネズラ NEZULLAのうにたべたいのレビュー・感想・評価

最強獣誕生 ネズラ NEZULLA(2002年製作の映画)
2.4
大映がガメラの前に企画制作していた"大群獣 ネズラ"という特撮映画がありまして、宣伝もして撮影まで入っていたそうなのですが、本物のネズミを使った撮影が衛生上大問題となり制作は途中打ち切り、大映はその後巨大な亀の怪獣『ガメラ』を公開し大ヒットさせました。
本作はその"ネズラ"の撮影で死んだネズミ達の供養の意図、はあったかどうか分からないですが、伝説の怪獣映画ネズラを現代版に復活させて作られた作品です。

米軍の秘密裏の研究の結果、人間大に巨大化してしまった化けネズミ(実際はモルモット)が誕生してしまう。
そのネズミは人を捕食する上、その体内に未知の病原体を保持していて、近隣の住人が被害を受け奇病が流行してしまう。
その巨大ネズミを秘密裏に処理し、さらに病気の血清を作るサンプル採取を目的として、米軍の特殊部隊が編成され、ネズラが潜む廃ビルに潜入する。
米軍とネズラの戦いを描いたアクションホラーが作品で、同時進行として、隔離病棟に放り込むだけで診察もできないその町の医者の葛藤を描いた作品でもあります。

大群獣ネズラをリスペクトした作品ですが、大群獣ネズラから輸入した設定などはなく、ネズミがモチーフなところと、ネズラという名前以外は異なる、全く別作品といえます。

本作はB級映画のレジェンドといえる作品で、シナリオがべらぼうに甘く、セリフの不自然さがハンパないです。
本気でやっていない系の大学の映画サークルが、文化祭にために作ったような内容で、見ていてなんだか恥ずかしい気持ちになりました。
米軍設定の純日本人、無駄に叫び散らし掴みかかりそして高笑いをする元気いっぱいの登場人物、「お前らアメリカ人は、どうやってコーラの味を説明するんだ?」に代表される香ばしいセリフ、激昂した町人達に無慈悲にタコ殴りにされる女性研究者など、目が丸くなる展開のオンパレード。
本作の監督である田川幹太氏は、本作により特撮ファンから激しい批判を浴びまくったそうですが、そりゃそうだ、制作段階でわかってたでしょ?という内容でした。
ただ個人的には、この狙って作れない痛々しさが魅力に感じました。
おすすめはしません、が、嫌いじゃない。

ネズラだけはかなり気合いが入って作られていて、結構リアリティがあります。
この頃の怪獣にしてはネズラのデザインも良く、平成ガメラやゴジラの怪獣よりもよっぽど良いデザインだと感じました。
ネズミモチーフなのにパワー系で、機敏な動きができないあたりも好感を持ちます。
また演出的にも、序盤、死角からネズラが襲いかかってくるシーンは良かったと思いました。
序盤のノリを後半まで保てなかったのが残念なポイントですが、どちらにしても、設定がザルすぎるのとセリフが臭すぎるので、批判は不可避だったように思います。

本作はB級好きにはもはや必須科目というべき映画だと思います。
好き者にはおすすめしたい1本です。