ROY

ジェリコ・マイル/獄中のランナーのROYのレビュー・感想・評価

4.0
マイケル・マンの出世作

監獄のスタジアムに男の信念が走る!

■ABOUT
『ジェリコ・マイル』〜この題名は人々の意志のカで崩れ落ちた“ジェリコの壁”の伝説に由来する。走ることに男の魂と信念を賭けてオリンピック候補に挑む第一級殺人終身犯の物語。 一生を牢獄で過ごすことを義務づけられた男レイン・マーフィーはその足で“刑務所の壁””記録の壁””社会の壁”そして“人間としての壁”に挑戦する。これはテレビ用作品で全米で放映当時大変な反響を呼び、その年のエミー賞の作品賞、監督賞、主演賞などを受賞。まさに名作の誉れ高い作品だ。(VHSの紹介文から抜粋)

■NOTES
「撮影期間は延べ21日間で、そのうち19日間がフォルサム刑務所だった。刑務所では日常的に暴力事件が起きやすく騒ぎになれば撮影が中断してしまうため、バンカーが各グループのリーダーに事前に声をかけてくれていた。また28人の囚人が役者として参加しており俳優たちとトラブルが起きないか危惧していたが、囚人たちは協力的で最後まで順調に行われた。しかしこの間に1件の殺人事件が起きている。」(『IMDb』から抜粋)

『刑事スタスキー&ハッチ』や『ポリス・ストーリー』、『女刑事ペッパー』など、70年代半ばからテレビシリーズのエピソード監督&脚本家として頭角を現したマン。その実力を高く評価したテレビ局ABCは、彼が持ち込んだテレビ映画の企画にゴーサインを出す。それが『白銀に賭ける恋』(1980)。マンは脚本だけでなく演出も自ら手掛けるつもりだったが、主演俳優デヴィッド・ソウルの怪我で制作が延期されてしまう。そこで、代わりとしてABCから提案された企画が、この『ジェリコ・マイル/獄中のランナー』だった。(なかざわひでゆき『exciteブログ』「ジェリコ・マイル/獄中のランナー」The Jericho Mile (1979)」2019 から抜粋)

「本作で監督・脚本を務めるマイケル・マンは、原作者のパトリック・J・ノーランとフォルサム刑務所に何度も足を運んで脚本を執筆した。」(『Wikipedia』から抜粋)

マイケル・マンは、かつてコマーシャルやドキュメンタリーを制作していたということもあり、この出世作でもそのドキュメンタリースタイルのリアリズムを貫いていた。『ヒート』では、銃の扱い方がリアルだったが、本作では、その類いのリアリズムではないドキュメンタリータッチが見られる。

旧約聖書に登場する“ジェリコの壁”の話は、『新世紀エヴァンゲリオン』の台詞中や映画『或る夜の出来事』のエンディングでも触れられている。
ROY

ROY