あくとる

アクアマンのあくとるのレビュー・感想・評価

アクアマン(2018年製作の映画)
4.0
過去のレビューと意見が大きく変わるわけではないのだが、久しぶりに鑑賞し直して3.5→4.0に変更。
とにかく、うぉー!ドッカン!ドッカン!という極めて陽なノリで突き進む快活さが好ましい。
初見時は大量のCGが気になってしまったが、今回は豪快な画作りのカッコよさに目を奪われた。

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(以下、初見時の感想) 

MOVIX試写会にて鑑賞。

"ヒーロー飽和時代"の今、どんなヒーローが実写化されようと驚くことは少なくなりましたが、本作のヴィジュアルは衝撃的。
"アクアマン"という、下手すると相当間抜けに見えそうな難題に対して真摯に取り組み、しっかりと見応えのあるルックに仕上げたと思います。

何と言っても、ヒーロー映画の一作目として非常に良くできていると感じました。
アクアマンの性格のごとく豪快でケレン味たっぷりな画づくり、カメラワーク、アクション。
ワンカット長回し風カメラでグルグル回る戦闘シーンは爽快そのもの。
また、ルッソ兄弟を思わせるような空間を広く巧みに使い、複数の位置関係を意識させるアクションも印象的。
キャラクター同士の愉快な掛け合いや胸の熱くなるやり取りがあり、会話シーンも気が利いています。
ヒーロー映画に欠かせない要素を漏らすことなく、しっかり押さえた秀作。

"彼がなぜ王としてふさわしいのか"というロジックも現代的でグッと来ました。





これだけ誉めておいて評価が3.5なのは、この映画にいまいち乗れなかった、没入できなかったからです。
乗れない原因は主に3つ。

1つ目は"ストーリーと公開時期"。
残念なことに公開のタイミングが悪く、特にストーリーに関して割りを食っています(ブラックパンサー公開からまだ一年ですからね)。
"王族ヒーロー"である以上、先に実写化されている"ソー"や"ブラックパンサー"を思い出すのは仕方ないとしても、それら二作と共通する要素がさすがに多過ぎてフレッシュさに欠け、ドラマとしては見劣り。
良くないとは思いつつも、「こういうシーンはソーでも出てきたな」、「これはブラックパンサーで言うところの○○だな」などと比較しながら見てしまいました。
特に気になったのは"ヴィラン二人の設定"で、前述の二作ともろに被りました。
また、王になる者としての葛藤をセリフで処理しすぎだし、軽いです。
そもそも原作があるものだし、一作目に必要な舞台説明に時間を割かなくてはいけなかったり、沢山の制約に縛られてしまう事情はわかるのですが、もう少しストーリーで違いが見せられたのではないでしょうか。

2つ目の原因は"キャラクターデザイン"。
アトランティスの量産型雑魚兵やブラック・マンタたち海賊グループの装備がつるつるプラスチックな質感と光り方で安っぽく、デザインがダサい。
しかも、"新品買ってきました!"と言わんばかりの汚れや傷の無さに違和感。

3つ目の原因は、"臨界点を超えたCGの量"。
これはアクアマンという題材上仕方ないのでしょうが、演者の肉体を含めて画面の9割以上がCGなのに顔は実際の人間という絵面を見ていると、「この領域まで達すると、もはや実写の必要って…?」というノイズがずっと頭から離れませんでした。
ほぼCGアニメーションのゲームプレイ動画を見ている感覚。
あるアイテムを手に入れるために各ステージを巡り、その都度異なる敵が襲ってくる…というお使い感あるストーリーもゲームっぽさを高めているのかもしれません。
アトランティスはまるで子供の頃に遊んだデュエルマスターズやマジックザギャザリングの絵柄が動いているかのよう。
CGが多過ぎて、セットを組んで撮影したシーンに移ったときのチグハグさ。
画はすごいのに心は動かず。