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エベレスト3Dのharunomaのレビュー・感想・評価

エベレスト3D(2015年製作の映画)
3.5
殺人の起こらない雪山とはなんだろうか。
その実、やはり人は亡くなっている。
あまりにもニュートラルな映画。2015年当時『エベレスト 3D』と 3Dと付いた時点で、逆効果に観る気を失せた山。

『パブリック・エネミーズ』のジェイソン・クラークが主演、しかも登山の仕事ができるいい人役の主人公、彼の帰りを待つ身重の妻に迫真の演技のキーラ・ナイトレイ(そうか、あのクロースアップはやはり『2Guns』のアイスランド出身の監督であり、トニー・スコット経由でもあるのか、だが三つの場所を経由する電話では何も変わらないという実話)ただほぼ一人密室のスタジオで撮影が行われるという、あるあの特別な現場の一日。他、呆けているかのようなジェイク・ギレンホール、普通に演技が上手いエミリー・ワトソン、サム・ワーシントン、的確な距離のロビン・ライト、身長が低めのエリザベス・デビッキ!と錚々たるメンバー。よく知る人々が集まっている。
物語の中で結果一番の軽薄な成金悪人に見えてしまうのが、満身創痍のジョシュ・ブローリンというのは、一体どういう西部劇なのだろうか、甚だ謎だ。

過酷な山頂にいる男たちよりも、地上でその知らせに息を震わせるエミリー・ワトソンやキーラ・ナイトレイ、エリザベス・デビッキら女性陣のリアクションの方が、映画は何かを伝えていた。
死の待機の時間のあまりにも煩いその静けさ。
それはニュートラルではないが、3Dでもやはりない。
ロベルト・ロッセリーニ、『アモーレ』第一話「人間の声」アンナ・マニャーニには遠く及ばずとも。
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