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オーバー・フェンスのmovieJackのレビュー・感想・評価

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)
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監督挨拶付先行上映にて鑑賞

真面目に勤勉であるが故に家庭を崩壊させ
苦悩を抱えながら別居し
訓練学校とアパートの壁の内にて
外部を遮断し復縁を切望しながら生きる男
自分は間違っておらず
家族のために真面目に働いていたのに…と
家族との関係性について男が勘違いする典型的なパターン
ビールが入ったビニール袋は自転車のカゴに入れず
泡立つのを押さえるため手に持つ神経質さ
まるで私と同じ(泣)

純粋に愛を求め続け
自由奔放に見えて
見えない壁に押し潰されそうになりながら懸命に生きる
ガラスのように繊細な女
ひょっとこみたいなメイクが少し残念だがそれも
精神状態の現れなのか…

偶然の出会いが
互いに影響を与え運命を変えてゆく

ほんの些細な事からでも一歩を踏み出し
壁を越えようとする勇気
背中をそっと押してくれるような
優しい作品であった…



でもごめんなさい…
音楽の使い方
スカッと綺麗過ぎる映像と人物描写
ベタでシンプルな展開とラストシーン等々
少し勿体なくも感じられ
私的には「そこのみて…」には及ばず…
また「リップブァン…」等の岩井作品と比較すると
もっと各出演者を魅力的にできないかな…
ちょっと私には合わないかな…



折角なので
監督の質疑応答内容について少し

○劇中何度か流れる「キュ~~ン」みたいな挿入音(私には少し違和感)について
ノコギリによるもので
監督が「カッコーの巣の上で」でも使われている音からインスピレーションを受け
精神病院での男達による閉塞感のイメージが似ているからとのこと

○白岩の部屋の窓枠へ止まったハクトウワシの真意について
深い意味は無いとのこと…(マジか…笑)
ハクトウワシ自体
当初監督は登場させるつもりはなかったがスタッフのアイディアとのこと

○空から降る羽根について
通常では起こり得ない現象を挿入しようと思い
当初は地震等も考えたがそれでは別のイメージを与えかねないのであれになったとのこと


皆さんの余りの好評価に
自分の感性の異端さにへこむばかり…
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