ジョバンニ

サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコのジョバンニのレビュー・感想・評価

4.3
驚きなのは、「彼らが皆踊りの教育は受けていない」ということ。
親戚のアーティストから、見て、学び続けた。独学の日々。

「合いの手」にギターの伴奏のつなぎ、かけ声(「肩に重機乗ってんのかい」に似てた。ボディビルダー)、踊りの魅せ場があって、日本の琵琶法師や雅楽との共通点もあった。
ロマ旋律のもつ悲哀さに堪らなく惹かれる…。和声短旋律ももう堪らなく良いけれど、ロマ旋律のロシアやハンガリーの民族音楽はもの凄く惹きつけられる。
移民の迫害などの苦労の心理的なものからこの旋律が生まれたのだろうか…?🤔
でも、このドキュメンタリーで観た彼らは、家族と生活するために踊る必要があり、寝食を忘れても死ぬほど踊りたがっていた。「生活のため」と「心底大好き」が一致しているのは、凄い境地だと思った。大抵はどっちかに偏ってるのではないだろうか。

あ!あと、彼らは全身が楽器だ。手を打ち鳴らし、足で複雑なリズムを作り、それぞれの個性ある声質で着飾らない本質的な歌を歌う。テーブルに右手を置いて、指だけでトン、カラララと伴奏を作り始めたお婆さんも、インタビュー中に「こんな感じさ、こんな歌詞がある」と歌った彼らも、皆いつも本質を歌っている。
面白いな。文化って。私は、日本はなんとなく「伝統を受け継ぐこと」自体に価値を感じているように思うのだけど、この映画を見たら「この音楽と踊りは良いから残る。それだけ」という感じ方をした。

もっと色んな文化を知りたい。人間の面白さを知りたい。映画はそのためにとても良い!
ジョバンニ

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