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この世界の片隅にのkのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.0
1930〜40年代の日本(中国地方)を舞台としたアニメーション映画。
主人公のすずは、辛いことがありながらも日々を天真爛漫に過ごしていた。しかし、第二次大戦が本格化し、戦争はすずの大切なものを次々と奪って行く。。。という内容。

普通の映画であれば偶然映り込んでしまったものなども往々にしてあるだろう。が、アニメ映画は全てが何らかの意志を持って描かれているということに気づいて恐ろしくなった。そういう意味では情報量が異常。
ただし、この映画はアニメーションに力を入れている感じは無くどちらかというとローファイな部類だと思う。けれど、そうすることによって本当に伝えたいことや登場人物の感情がより浮き彫りになっていたと思う。そういう点では絵本のようで素敵だと思った。

内容については戦争を題材にした映画としては珍しく一般市民にフォーカスした内容。例えば、当時の生活の知恵などを取り上げている。
しかし、その和やかさが後半の戦争の終焉を実感させる描写をより印象的にするための伏線として働いている。

軍に駆り出されていた男が戦死した時に、隣人がその遺族たちに「おめでとうございます」と言っているシーンが最も衝撃的だった。戦時中の様子は現代から考えるとあらゆることが不条理でしかなく、やり切れない気持ちになる。
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