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この世界の片隅にのsummerのネタバレレビュー・内容・結末

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

・最初のシーンで流れてる音楽は、「来たれ友よ」かな。クリスマス礼拝で歌う歌だったので、今の季節との偶然のリンクを感じた。

・「お兄ちゃんが死んで良かったと思うとる、いがんどるのはうちだ」、歪んでるの意味。私の地元でもそう言うけど、関東に来て、そう言うのは西の方だけと知った。この台詞で、方言には人の暮らしが見えるなと再認識。

・「まだまだ明日も明後日も、あるんじゃけえ」私の祖父は玉音放送で戦争が終わると知ったその日、夕飯が相変わらず粗末なので「戦争が終わったのに食べるものはないままか」とぼやいて父親に怒られたと言ってた。戦争が終わっても苦しみがパタッと終わるわけじゃないし、苦しくても明日も明後日もやってきて、日々をつないでいく。

・すみちゃんはきっと長く生きられないし、それはたぶんヨーコさんもそうだし、生きられたとしても痛みに苦しみ、差別に苦しむんだろう。戦争が終わって一見明るい雰囲気で物語も終わるけど、大団円じゃない。でも生きていく。

・幸せに見えるけど、自由はないすずさん。家。嫁入り。当時は当たり前のことだろうけど。どちらかというと、どうせこの環境で生きていかねばならないなら、せめて幸せを見つけて生きよう、という無意識の生存バイアスを感じる。人間はそうやって適応していくものなんだと思う。それがいいか悪いかは分からない。

・戦争を取り扱う映画の中では、「ジョジョ・ラビット」と近い系統にあるように思う。戦時中の生活の目線で描いた映画って少ない気がするな。「戦争しよっても蝉は鳴く。蝶々も飛ぶ」

・ジブリの影響で、素朴さを表現するには棒読みにするしかないのか?と納得しかかっていたけど、この映画を見てやっぱりそんなことはないと気付いた。ちゃんと感情込めても素朴さ、リアルさは伝わる。のんさんが出てる映画ドラマ見たことないのでどんな芝居するのか知らなかったけど、すごかった。
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