kamone

この世界の片隅にのkamoneのネタバレレビュー・内容・結末

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ようやく観られました。
原作が大好きで、映像化(それも、監督は名犬ラッシーの片渕須直監督!)のニュースを最初に聞いたのは何年も前。クラウドファンディングも少しだけ協力させてもらって、ずっと楽しみにしていました。
出来上がりは、なんとなく頭で想像していたものと全然違っていて。原作の切り取り方、膨らませ方、ディテールの深め方、全て組み合わさって、大きな1つの体験として押し寄せてきます。

丁寧に1つずつ確かめるように暮らす人。その上に、殺すつもりで降って来る物理的な力。この力の表現は、初めての体験でした。こわい。すごい。それを客観的に捉え続けるカメラと、それでも光に満ちて美しい世界。お構いなしに飛び回る昆虫。そして人も失ったものを忘れることなく、日常を続けていく。
心象風景に使われる抽象的なアニメーションや絵など、いろいろ細かくあるんですが、特筆すべきは手法が手法として独立せず、物語、丁寧な演技のアニメーションと役者さんの声と完全に融合しています。

要するに、この映画の映像は、記号化されてないのだと思います。空襲の描写1つとっても、見慣れたアニメーションの爆発など、安心させるものは1つとしてない。初めて見る風景としての空襲でした。
もう一度見ると思います。

のん(能年玲奈)さんの映画主演復帰作、足掛け6年の綿密な取材、など、いろいろな事前情報がありますが、映画が始まると全て忘れます。

昭和の始まりとともにうまれたすずの人生は続いていくんだと、改めて気づかされたエンドロール。本当にこういう人たちが生きていたんだと思わされます。

たしかに泣くかも。でも、泣かされたという感じがしません。自発的な感情で泣いてしまった、と感じました。不思議です。泣ける映画というよりも、気付いたら涙が流れていた映画と言いますか。

ダラダラと語ってますが、一人でも多くの方に見ていただきたいです。是非是非よろしくお願いします。

あ、クラウドファンディングしたので一番最後の最後のクラウドファンディング参加者リストに名前を乗せていただきました。でも、その下で展開している映像から目が離せなくて! そういう意味でももう一度観なくては。

原作を読んで映画を見た人と、エピソードの取捨選択についても話したい。お義母さんを自転車の荷台に乗せて行く話しがすごく好きなんだけど、削られてて、でも台詞は残ってたりしたこととか。そうかーって思ったなー。

口紅をもらうエピソードも収録した完全版も観たい。気が早い。


落ち着いたらもう少し整理するかも。
kamone

kamone