カツマ

この世界の片隅にのカツマのネタバレレビュー・内容・結末

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ただ絵を描くのが好きだった。ただ嫁いだ先のお姉さんの意地悪な態度に我慢するのがストレスだった。ただ、普通の生活を送りたい、それだけだった。

懐かしくキラキラとした思い出。それは派手ではないけど、ごく普通の人生の結晶。そんな人生をも破壊する戦争の酷さと泣きながら涙も乾かないままに生きていかなくてはならないある市井の人を描いた作品。
あのまま平和な風景のまま終わってほしかった。特に波風の立たない映画になっていたとしても。

ここまで心の奥までエグられる作品は稀である。印象派を思わせる絵コンテをそのまま劇中で使い、迫真に拍車がかかる。
あの日あの時こうしていたら、、何かが変わったかもしれない。でも、もういいんだよ、頑張らなくても。そう、泣いてもいいんだよ。そう言ってあげたくて。それでも生きていく人達を見ていたらいつまでも涙が止まらなくて。戦争が憎くなった。泣きながら強く生きてくれと願った。
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