となりのデルトロ

この世界の片隅にのとなりのデルトロのネタバレレビュー・内容・結末

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ようやく!ようやく観れた!!
もう公開してからそこそこ経つのに、そして平日にも関わらず、劇場は満員!!
客層も若いカップルからじーさんばーさんまで実に幅広い
改めてこの映画の今の勢いを感じる
さて、この映画。まず主人公のすずさんがものすごおおおおおおく魅力的
誰もが好きにならずにいられない、愛すべきボケキャラ
動きや表情がいちいち可愛いし、何よりのんの声が信じられないくらいマッチしてる。シンクロ率400%。もう完全にすず=のん
他のキャラクターもとても魅力的
そしてそんな彼らが織りなす戦時中の暮らしぶりが何といってもこの映画の最大の魅力!!
この映画はとにかく異常と言っていいほど歴史考証が徹底されてる映画なので(そして作画が素晴らしいので)、細かいところを見てるだけでいちいち楽しい
食べ物(すごく重要!)とか服装とか街並みとか。本当に見てきたかのように活き活きと(とても優しいタッチで)描かれてて、そのすごさに圧倒される
そしてやっぱり1番素晴らしいのがすずと婿さん一家とのやりとり。もうね、戦時中の暮らしなのにとにかく優しくて明るいんですよ。陰惨な感じとかがまるでない。
例えばすずさんが憲兵に取り調べされる!という一大事でさえ笑い話に変えてしまうタフさ。そこら辺が本当に見てて楽しかった
でもやはり戦争中の話なので、楽しいだけで済むわけはない
だんだん戦況は厳しくなり、すずさんたちを取り巻く状況もハードになっていく。そして訪れる悲劇・・
この映画が観客に圧倒的なインパクトを残すのは、限りないやさしさと、徹底した容赦のなさが何のうそもなく同居してるからだと思う
ストーリーは勿論、すずさんや最後に出てくる母親の傷の生々しさ、空襲シーンの(作画、音響含めた)リアリティ、戦争が激化して悲劇が起こってからの感傷に浸る間もないほどのスピード感で空襲→解除→空襲→解除→空襲→解除→空襲→解除となる編集、そしてなんといっても原爆投下のシーンは背筋が凍った
やさしい映画だけど、ぬるいところは微塵もない。
そこが素晴らしい
コトリンゴの音楽も素晴らしいし、原作の実験性をちゃんと引き継いでるのもえらい!
本当に素晴らしい映画!!なのになんで4点なのかというと・・
実はこの映画を見るにあたって、ちゃんとがっつり原作を読み返してから言ったんだけど、かえってそれが仇になってしまった・・
なんというかストーリーを完全に把握してから見ちゃったんで、何が起こるが全部わかっちゃってどうしても冷静に見てしまったというか・・
これは本当ぉぉぉぉに失敗しました。映画見てから読み返せば良かった!!
劇場はすすり泣く声があちこちから聞こえてエンドロール終わるまで誰も席を立ちませんでした
俺も素直に感動したかった・・。名作なのは間違いないんで、気になる人は絶対に見た方が良い
俺もとりあえずあともう一回見たいです