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この世界の片隅にのnaoのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.3
あまちゃんの主役をやってた のん の声が 耳に心地よかった

全編を通して、
日にちが変わるごとに
○○年○○月ー、○○月○○日ー
と日付をふる場面の切り替わりかたが特徴的だ。
冒頭部分は 主人公すずが まだ子どもの頃からはじまり、
サクサク進む切り替えで、すずの 人となりや、それが形成されたであろう 育った環境や暮らしぶり、家族構成や関係性などが ちゃんと伝わるし、
物語の主である年齢になってからは、
日ごとに変化してく心情や、状況などを、
すごく効果的にあらわしている。

それぞれのエピソードや バックグラウンドが しっかり設定されているなーと思ったら、
もともと漫画の原作があるみたいで。。
(設定がしっかりしすぎてて 2回目に観て、あ、こんなこと言ってたんだって 気がつく台詞もあったりした)
…って感じで、情報は全く知らず、戦時下の話なんだろうなくらいなテンションで臨んだら
ガツンとやられた。。

初めから終わりまで、すずの声とともにずっと心地よく劇中流れる唄声と、
絵が好きなすずが描く 景色や人が魅力的で、絵は色もすごく綺麗。
この色遣いの効果はアニメーションならでは だと思った。
戦争中とはいっても、当たり前に毎日の暮らしがあって、そのなかで織りなされる すずのまわりの人との触れ合いや 人間くさい感情などに、普通に惹き込まれた。

で、冒頭から自分のことをそう言って、何度も繰り返す、
昔からぼーっとしてる
って言われてるすずが、
それだけじゃいられなくなるのとか、呉の空襲のシーンでは 下手な実写?よりも リアルで臨場感が溢れて 怖く感じたのとか、
物語の人物や状況と 距離感が ぐっと近くなる生々しさがあった。
当たり前かもだけど、
太平洋戦争を全く感じられていなかったなってホントよくわかった、、、
地下鉄サリン事件や、同時多発テロ、東北の震災、
は体験こそしてないけど、自分のなかでは 深く胸に刻みこまれていて、それと同じようなものをみたような感じだった。
戦争って。。。醜い、
ほんとに。

途中でも書いたけど、
すずの描く絵の力と、人となり、音楽、
のんその他の声の魅力が光って 物語を更によいものにしてたな。

衝撃を受けたけど、最後には なんだかじんとくる作品だった。
エンドロールでなごんだ。
nao

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