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Waiting for GuffmanのGreenTのレビュー・感想・評価

Waiting for Guffman(1996年製作の映画)
3.0
メリル・ストリープのお気に入り映画だそうです(笑)

ミズーリ州の小さな田舎町ブレインは、街の創設150周年を迎え、記念イベントで街の歴史を伝えるミュージカルを上演することにする。

町役場の職員たちの話を聞いていると、ブレインの祖先は西部開拓時代にカリフォルニアを目指していたのだが、中西部のミズーリをなぜかカリフォルニアと勘違いして居着いた人たちってところからギャグになっています。

ミュージカルのキャストは、住民の中からオーディションで選ぶのですが、夫婦で旅行会社を経営しているのにブレインから一歩も出たことがないロンとシーラを見て欲しい!こういう「夫婦でチームを組んでビジネスする」アメリカ人の、ダサいのにイケイケな感じを良く捕らえている!特にシーラは、すっごい変な柄のウインドブレーカーの上下を着ているのですが、私がアメリカ来たばっかりのとき、こういう服装すっごく流行っていて、「アメリカ人って、お洒落じゃないじゃん!」って思ったことを思い出した!

デイリー・クィーンというアイスクリーム・チェーン店でバイトする女の子を演じるのがパーカー・ポージーで、この人のオフビートな感じがまた面白い。

ミュージカルの制作を仕切るのは、ニューヨークでブロードウェイをやってたという噂のコーキーで、これを演じるのが『スパイナル・タップ』でナイジェル・ターフネルを演じ、制作にも関わったクリストファー・ゲストなのですが、ナイジェルのブロードウェイ版って感じです。制作にも関わっているので、フォーマットは全く『スパイナル・タップ』と同じで、インタビューを交えたモキュメンタリー形式で話が進んでいきます。

セリフは全てアドリブで、めちゃシュールなオフビートなギャグばかりなので、刺さらない人には全く刺さらないと思うんですけど、なんかクリストファー・ゲストって笑っちゃうんですよね、私は。

街の人たちはコーキーが「ニューヨークでブロードウェイをやってたプロフェッショナル」とか言ってるんだけど、コーキーにインタビューすると「オフオフオフオフオフオフオフ・ブロードウェイ」って、ほとんどブロードウェイじゃないじゃん!とか結構素直に笑った。

あと、「妻のボニーの洋服は、全て僕が買っている。ショッピング大好き」って言うんだけど、コーキーの奥さんを目撃したことのある人はいないし、街の自動車修理屋さんで働いているジョニーというイケメンの若い男の子を自ら出向いてスカウトしに行く(笑)。

ダサダサのミュージカルなのに、役所の偉いさんが「コーキー!コーキー!」ってティーンの女の子みたいに熱狂するところとか爆笑。

ミュージカル・プロダクションがすごいレベル低いし、キャストももちろん素人なのに、コーキーはこれでブロードウェイ復活を目指す!と、ニューヨークの業界の人たちを招待する(笑)。タイトルの “Waiting for Guffman” って言うのは、この招待したガフマンさんって人の席がずーっと空席になっているので、それを待っているって意味です。

私はスパイナル・タップ好きだから好きだけど、人に勧められるかって言ったらどーなの、と思ってたら、ロッテントマト91%、iMDb 7.5/10って、そんなに評価高いんだ!と逆に笑ってしまいました。メリル・ストリープのお気に入り映画って iMDb に書いてあってさらにウケた。

これも『スパイナル・タップ』も、自分はすごいアーティストだ!って思っている人の行動が子供っぽかったり全然すごくなかったりっていうのが笑えるし、クリストファー・ゲストってなんか可愛くて微笑ましい。ちょっと変わったコメディが観たい気分のときにどうぞ。
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