Kuuta

アフリカ残酷物語・食人大統領アミンのKuutaのレビュー・感想・評価

3.0
黒いヒトラーと呼ばれ、40万人とも言われる虐殺を行ったウガンダの独裁者アミンの伝記映画。比較的真面目に作られているが、邦題から分かる通り日本ではモンド映画としてプロモーションされた。5分おきに拷問や処刑シーンが入るので、あながちそれも間違ってはいないが、どっちつかずな印象ではある。

全体のクオリティは物足りないが、アミン役の熱の入った演技、冷凍庫に入った生首や頭をぶん殴るアクションの妙な生々しさ、ラストの戦闘のスケール感、やたら荒っぽい編集などなど、捨てきれない魅力もある。

アミンは菜食主義者だったが、出身の部族の呪術に基づいて政敵の肉を食べた事はあった(らしい)。今作で一番良いのはメインイメージにもなっている、人肉に模した豚バラ肉?をつまんで口に入れようとするカット。邪悪な表情が素晴らしい。

銀行員「お金が足りません…」
アミン「じゃあ刷ればいいだろ!」
銀行員「価値が落ちてトイレットペーパー同然になります…」
アミン「お前はウガンダの金をクソ呼ばわりか!殺せ!」

殺人、拷問、強姦と、終始やりたい放題ではあるが、ジャイアンが権力を握ったような間抜けさも、どこかに感じずにはいられなかった。ただ、当時の実際の会議映像を見てみると、かなりドスの効いた声で迫力満点。明らかに周りもビクついている雰囲気で、ボクシング元ヘビー級チャンピオンの体の存在感も相まって、この人が権力を握るのは相当怖い。

個人的にモンド映画は全く通過してこなかったジャンルなのだけど、もっと色々見てみたい気分。ミッドサマーの影響かなぁ。60点。
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