けーはち

野獣暁に死すのけーはちのレビュー・感想・評価

野獣暁に死す(1968年製作の映画)
2.7
仲代達矢を準主役級の悪ボスで起用したマカロニ西部劇。みんなニヒルに構えているが彼だけ目玉ギラギラ殺気バチバチの野武士のような面持ちでマチェーテを抜いて斬りつけ、撃たれる時もやたら重々しい芝居でユラ〜ッと勿体つけて倒れて行くのが印象的。西部劇では普段燦々と陽の照る荒野を舞台にするが、今作は予算の都合ゆえか馴染みの乾燥地帯のロケもせず、残雪の薄ら寒く木々も鬱蒼と生える地が舞台で西部劇らしからぬ空気が一種独特。そんな中、冤罪で刑務所暮らしをしながら復讐に備える主人公が木彫りの銃の模型でストイックに早撃ちの練習をするシーンや、銃砲店に立ち寄り無言で得物の見定めをして何故か店頭にいた無法者を試し斬りとばかりに抜き打ちで倒すシーンといった序盤は「もしかして面白いんじゃ?」と期待させられた。ただ、主人公が名うてのガンマンを金銭で雇って復讐劇という話の流れには工夫がなく、仲間の個性もそれほど活かした戦闘シーンはなくて惜しい。