ざきを

ウォント・バック・ダウン ママたちの学校戦争のざきをのレビュー・感想・評価

3.6
読字障害のある娘を放っておき、うちでは無理だから転校した方がいいと勧める学校。貧困層の母親ジェイミーは引っ越すことなど到底無理。ある時、教師と保護者が声をあげれば学校の体制を変化させることができると知り、同じく学習障害を持った息子をもつ教師のノーナと共に行動へ移していく。

アメリカの貧富の格差の問題や、その格差によって教育の格差が生まれ、ホームレスの増加に繋がっているってことは聞いたことがあったけど、ここまでの識字率で、ここまでの進学率になってしまっているなんて驚いた。ノーベル賞獲得者数全世界1位のアメリカだが、教育環境はかなりのピンキリ。金がある者は上へ、ない者は下へ。
かなり深刻な問題をテーマにした作品で、とても興味深いないようだった。

今の日本人の識字率は99%と言われている。明治維新時、日本の識字率は50%以上はあったとされており、日本を植民地にしようとしていたイギリスはなんと10%の識字率。これが日本が植民地にならなかった理由の一つなのではないか?と言われている。この日本の識字率の高さこそ比較的高い治安を維持している理由となっていると思う。日頃の小学校の先生たちの努力の賜物、しかしこれからの教員はどうなるか…

この作品のテーマは"学校は誰のためにあるのか?"。無論その答えは“子供のため"一択である。しかし、残念ながら「収入が安定しているから教員になる」といった教育に熱意のない教員が増えてしまっている。ただ勉強ができるだけで人格が形成されていない奴。そんな奴が増えてしまっている。私は"子どもに体を動かすことの楽しさを伝えたい!"という気持ちで教員になった。だからこの現状が非常に残念でならない。この作品にもダメ教師の描写があったが、本当にこんな人とは仕事したくないし、こんなクソに教わる子どもたちがかわいそうでしょうがない。
教員という職業。残業代が払われない、クレーム処理が辛いとマイナスなイメージで目指す人が少なくなり、質も低下してきてしまっているのは否めない。どうにかこの状況を打破してくれる人物が現れないものか…そんな風に思わせられるとても深い作品でした。

深い作品だけどこのスコアの理由は、母親のジェイミーが好きになれなかったところ…
自分も読字障害だったのなら子ども産む前に貧困にならないようにもっと何かできたでしょ!って言いたくてしょうがなかった。全てを環境のせいにして、自分で何がしらの努力を今までになんでしてこなかったの?もう少し前に頑張ってたら違ったよね?って思わずにはいられなかった。マリアのために立ち上がれたのはすごいと思うけど、突然立ち上がった感があったから、もっと込み上げる熱さみたいなのが欲しかった。だからこそトイレの娘ちゃんのセリフは核心を突いていてかなり響いたなぁ。もっと前にできたでしょ?って。
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