海

BOYS/ボーイズの海のレビュー・感想・評価

BOYS/ボーイズ(2014年製作の映画)
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何度も願った、「今すぐに彼のもとへ走って」「あの場所に泳ぎに行って」「このひととならどうなってもいいと、痛いほど思っている心を殺したりしないで」お願い、 両手の指を組んで、手の甲に爪のあとが残るほど握りしめて、上にきた親指をくちびるの間に沈ませた。わたしのからだの全部が表現しようとしていた祈りは、映画の中の彼を通り越して、わたし自身に向けられていた。 このひととなら、どうなってもいいと、たった一度だけ思ったことがある。わたしたちは、全然違ったのに、時々こわいくらい同じことを考えて、わたしの心の真上に、あなたの心が重なるとき、ずっとこのままがいいと思った。他には何もいらないと思った。百回の愛してるのキスをもらえる人生より、たった一回のおやすみのキスを好きなひとにしてあげる人生がいいと、わたしあなたに教わったの

この映画には、わたしたちがひとりのひととしか決してわかちあえないあの尊い時間が、確かにあった。
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