さすらいの旅人

ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

3.8
「あの子たちの声でステンドグラスを粉々にして!」 BS/WOWOWシネマBD録画視聴。

いや~、久しぶりに心温まる天使の声の映画を観た。
昔、ディズニー製作のウィーン少年合唱団の映画を観たことがある。
題名は忘れたが、団員の友情に涙を流した記憶がある。

本作は、複雑な家庭環境の少年がある事をきっかけに宿舎制の名門合唱団に入団。そこでの生活は、指揮者や指導者との厳しい練習や、一部団員のいじめにも耐えて頑張る。そして、努力の結果、ソロで歌えるほどの実力が付くが…。
このストーリーは王道中の王道で目新しさはない。
しかし、王道が故の結末に対する安心感があり、感動移入もスムーズだった。 

指揮者役であるダスティン・ホフマンのいぶし銀の演技がいい。最初は少年の生活態度の問題で相手にしていなかったが、天性の歌の才能を信じて指導を開始する。その接する厳しさと優しさが心温まるヒューマンドラマとしての見応えがあるのだ。
少年ステットを演じるフランソワ・ジラールはデビュー作らしいが、少年の危うさや葛藤を上手く演じていた。あと、校長役があのホラー映画「ミザリー」のキャシー・ベイツだったので驚いた。

本作の全編に流れるボーイズ・ソプラノは美しく清らかだ。この声のおかげで、あらゆるシーンが名場面として映るから不思議だ、これが、音楽映画の強みであり醍醐味だと思う。
また、ボーイズ・ソプラノはあくまで一時的な声であることもしっかり描いており好感が持てた。クラッシック好きにはたまらない映画だろう。