黄金綺羅タイガー

残穢 住んではいけない部屋の黄金綺羅タイガーのレビュー・感想・評価

3.3
日本のホラーを観てひさびさに怖いと思った。
Jホラーはこういうのでいいんだよ、と心の底から思った。

西洋のホラーがステーキならば、Jホラーは出汁。
西洋のホラーが衝撃、画の迫力、刺激的な恐怖ならば、Jホラーは気配、関係性の積み重ね、ジリジリと忍び寄る恐怖。
家単位で歴史を追っていくというやり方、その家の噂話がいまだに残っているというすごく日本的だ。
怪談でいうところの自己責任系のようなはなしの造りなのも、日本の怪談の文化を反映しているような気もするし、映画でいえば『リング』的ともいえる気もする。

怨霊たちのCGがベタベタなCGであるチープさはB級ホラー感がとてもあるが、それはそれでとてもいい。

そのCGの使い方や、ナレーションのトーン、間の取り方、演出の方法が『ほんとにあった! 呪いのビデオ』的な雰囲気あるな、と思っていたら、本作の監督が初期にむちゃむちゃ関わっていたと後で調べて気づいた。

『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズはビデオドラマの形としてはある意味様式美の域でさえあるとは思うが、あれをあのままの形で映画にしてしまうとそれは難があるように感じる。
本作はその課題を炭鉱事故などの大事な場面での画面の作り込みのクオリティをあげることで説得力を持たせるなど、いろいろな手を使って映画のクオリティまで押し上げているように感じる。
しかしなんといっても、本作を映画的なクオリティへ押し上げた一番の要因は要因はメインとなる役者たちの存在であるように感じる。
彼らの存在感や、ある場面では過剰な、ある場面では抑えた映画に合わせた演技の質、そういったものが、本作を映画たらしめているように感じる。