牛丼狂

ハッピーアワーの牛丼狂のレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.0
30代の女性4人とその周辺人物を登場人物とした群像劇。
ドラマチックでないといえば違う気がするが、とはいえ決してドラマチックとは言えないような小さな設定の積みかさねを余すことなく描ききることで浮き彫りになるリアリティと、それが生み出す劇中の時間空間に同居する感覚により飽きることなく鑑賞できた。
電車を降りたらワークショップの青年がいて、その隣にはその青年のことが好きであろうワークショップの若い女性がいて、駆け落ちめいたことをする二人と残された二人というシーンは、全登場人物に感情移入できるので迫力があった。作品が長いゆえに多くの登場人物を描いており、それが後半になればなるほど活きてきた。
だれが良いとか悪いとかの話ではないけれど、やっぱり感情移入できる人物としがたい人物がいる。なぜか勝手に浮気された桜子の旦那には、同情せざるをえなかった。
映画として緻密に計算されていることをすごく感じ、見ていて気持ちよかった。
個人的には「幸せになる方法を知っている」という研究者の不倫された男にいちばん同感できた。
また、神戸フェリーに乗船する純とそれを見送る桜子の息子のシーンが、美しかった。
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