サラリーマン岡崎

ハッピーアワーのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.8
何故、5時間17分もあるのか?
それは、会話を大切にしているため。

終盤、朗読会のシーンがある。
ここで、観客が作家にこう問い掛ける?
「単調に朗読していたのは意味があるんですか?」
この問いに作家は
「ありのままの言葉を皆さんに届けたかった」
と言う。

この映画では日常的な会話が中心に描かれる。
飲み会の中で、家の中で、会社で、旅館で、そういった普段の会話の中で時には人を刺し、時には癒す。
そう言った何気ない日常の中で人は傷つき、癒されていく。
そのありのままの日常や会話の中で何かを感じ取る。
だからこそ、この映画は会話を長くとり、5時間17分となった。
俳優たちの演技が少し単調なのも、それが理由としてあるからかもしれない。
長くなっても飽きないのは、その日常の会話にスリリングさがあるから。

日常の中で傷つき、傷つける彼女たち。
そんな彼女たちの表情を迫力を持って届けようと真正面から撮るカットが多いのも印象的だ。

人間って見た目とは正反対だな。
そんなこと思ってしまった。