くるぶし

ハッピーアワーのくるぶしのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
3.9
イチゴ、レモン、ぶどう、オレンジ、4つの飴を一気に口にいれたらどうなるか、という映画。

おいしいんですよ。
味は混ざってもおいしい。
30代を越えてから友人関係となった女同士に突拍子もない異分子が入り込むことはまずそうないから。例えば醤油味みたいな人は入り込まない。だからリアル。

5時間という時間をかけて4人それぞれの背景が描かれる。
夫婦同士の会話、親子の関係、職場の仲間など誰しも内と外での顔は違う、その有り様を徹底的に映す。

少しずつ影響をうけあって変化を起こしていく関係性の緻密さと、微風にでさえ吹き飛ばされる脆さ。

第三者の介入によって本質を暴かれる、というのはどんな映像作品でもそうなのだけれど、濱口作品に関しては一対象物に対して何本も矢印が向くからおもしろいのかも。
ただ女性の機微が描けている一方で男性については固定観念強すぎでは?

価値観の変化が目まぐるしい昨今、たくさんのセリフによって成り立つ濱口作品は時代から外れるスピードも早い気がする。
この作品に限ってはさらに5時間というハードルもあるので気になっている人はさっさと見るべきだよ…寝かせていいことなにもない。

初期傑作の一本として見たとき、ここから「ドライブ・マイ・カー」へ進化を遂げるのか、と思うと本当に見てよかった。
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