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ハッピーアワーのinuinuのネタバレレビュー・内容・結末

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

長編映画を初めて観たけれど、ものすごく映画の世界に引き込まれてあっという間に5時間が過ぎてた。
あかり、桜子、純、芙美、4人が関わり合いながらもそれぞれの生活を送っていく中で微かに感じる違和感。その違和感が作品が進むとともにどんどん爆発していく感じだった。
序盤から感じる違和感で一番印象的なのは純の言葉や表情。山の上から眼下に広がる霧を見て「お先真っ暗やな」とこぼしたり、桜子ともう会わないでほしいとの頼みに「大丈夫、心配せんでもそうなるから」と答えたり、温泉から先に帰る3人の車を見送った後の表情だったり。この人はどうなってしまうんだ?!という緊張感がずっとあった。そして純の失踪をきっかけに緊張の糸が切れたように他3人の生活にも変化の渦が次々に巻き起こっていく怒涛の展開に目が離せなかった。
色々なものがぐちゃぐちゃになって、壊れてしまって、絶望すら感じてしまうような終盤。それぞれみんな日常が大きく変わってしまったし、純は未だに帰ってこない。それでもなぜかこの4人の未来は大丈夫なんじゃないか、と感じている自分がいた。なんでそう感じるんだろうと思って考えると、もしかしたら作品序盤のワークショップの影響なのかも?!と思った。ワークショップの最後に「今日は触れ合って、繋がって、それをまた壊して、やり直して、というのをやってきた。そういったことを繰り返して関係というものは構築されていくものだと思っている」というような趣旨の鵜飼の話があった。はじめこのシーンを観た時はなんやこの意味わからん胡散臭いワークショップは・・・と半笑いで観ていたけど、観終わったあとに振り返るとこのワークショップが作品のテーマ的なものを示していたのかもしれないと感じた。だから4人はとんでもなくぐちゃぐちゃになってしまったけど、ここからまた新たな関係を構築して、繋がっていくことができるんじゃないか、と感覚的に思えた気がする。
その後の4人がどうなったかは描かれていないけど、私はハッピーな結末を望んでしまう方なので、いつかどこかの未来でまた4人が楽しく笑っているといいなと思った。

濱口監督の作品を観るのは2回目で、前回も今回も感じたのはキャラクターのクセの強さ。ぶっ飛び加減に思わず笑っちゃう瞬間があって、内容どうこうの前にそういうシンプルなおもしろさがあるところが好きだなと思った。他の作品ももっと観ないと!と思いました!!!
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