『ハッピーアワー』（2015）
監督：濱口竜介
『寝ても覚めても』『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』と濱口竜介にどハマり中。
ただ、本作はブルーレイを衝動的に購入したものの、なかなか覚悟ができず未開封のままだった。
今回、いざ覚悟を決めて初鑑賞。
結果、面白過ぎて一気見だった。
４人の主人公の誰にも、そして登場する登場人物の誰にも共感できないし親近感も湧かない。全く感情移入ができないにも関わらず、317分も集中して見続けることができる濱口マジックはいつも特別な映画体験をさせてくれる。
練りに練られた脚本で、どのシーンにも無駄がない。
主人公４人の感情の機微を１人１人丁寧に描くためには５時間でも足りないぐらいなのだろう。
特に４人の揺れを的確に描いたワークショップ、小説の朗読、打ち上げのシーンはこれぞ濱口作品といった独特さを持っている。
ここを受け入れられるかどうかが、本作に対する評価に直結すると思う。
演技未経験の４人にも全く違和感はなく、むしろ身近にいそうな感じを醸し出していて大きくプラスに働いている。
これが見知った俳優だったら、ここまでの没入感は得られなかったかもしれない。
覚悟はいるが、濱口竜介の作る世界が好きな人は見逃してはいけない作品。
