寛子

ハッピーアワーの寛子のレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
3.8
結婚式の翌日だったけれど、どうしても観たくて、フラフラの状態で観た。
ずっと、「カメラの前で演じること」が気になっていて、「でも、まだ本編観てないし!観てから決めよう…」と購入を躊躇していたけれど、この映画をきちんと理解するためには必要すぎる教材!と思って映画の途中で買うことを決心した。
"好意を寄せる"という観点から、濱口監督の卒業制作、「PASSION」にすごく近いというか、「PASSION」で語りきれなかったあれやこれやを実験的にもやっているように感じたし、"言葉"や" 恋愛"ってなんだ?愛するってだけで人間はこんなに絶妙な距離感できてしまうのか…と恋愛の渦中にいる男女の微妙な言葉のチョイスや探り合いが面白い。それと同時に「ドライブマイカー」でみさきが言っていた「ただ単にそういう人だったと思うことは無理ですか?」に尽きる気がしていて、頭の中で何でも良いようにも悪いようにも捉えてしまえるからこそ、自分で見たことだけが唯一信じられるし、事実でもある。恋は盲目であるが故の身勝手さと解釈に人間の嫌な部分って凝縮されるよね…。よく知っていた人のはずなのに、何も知らないし、何も分かってくれていないし、わかり合えないし、
ということが、今の私にも起こっていて、タイミング的にも観られて良かった作品だった。

所々の小津カット(じゅんの告白)とか本当に強烈なシーンだったし、逆光をうまく利用した男の影がよかった。バスのシーンとかスタビライザーつけずによく撮ったよなぁ…。濱口監督の貴重な演技も必見。happy hourなのは最初のピクニックだけ。
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