ダイナ

地球を守れ!のダイナのレビュー・感想・評価

地球を守れ!(2003年製作の映画)
4.2
パケ写のB級SF感から緩さを期待すると裏切られる内容の重さ。日常では気弱な青年ビョングが手製ヘルメットを被りゴミ袋のような黒光りしたビニールをヒーローのマントのように纏い製薬会社の社長に執拗な拷問を仕掛けていく。要求は一つ、「お前エイリアンだろ!王子をここに呼べ!」と。抗鬱剤やエイリアン独学、アングラ要素に暴力が増していく内容、この映画自体が暴走しながら危険な電波を発してます。

痛覚に訴えかけるバイオレンス描写が濃い目で、例を挙げると足の甲をゴシゴシ削って剥き出した所に液体を垂らしたり、逃げないように掌を釘打ちしたりと、個人的な体感として映画の時間半分以上は拷問シーンというか社長とビョングの問答と痛めつけ、そして脱出チャンスのスリル。全体的にはサスペンスの比重が大きいです。しかし、悲劇的なドラマ、監禁犯と警察の攻防サスペンス、殺陣見せやサーカス芸のアクロバティック演出や蜂を利用した攻撃(MGS3っぽくて良い)、心臓マッサージのアホくさい演出含めバラエティに富んだ描写の数々は、韓国お得意のノワール系とは一味違った、ジャンル間を反復横跳びするような自由さも魅力的。拷問一辺倒だと中弛みしそうな部分が上記の手数によって飽きさせず、楽しめました。
ダイナ

ダイナ