Teriyaki88

パッセンジャーのTeriyaki88のレビュー・感想・評価

パッセンジャー(2016年製作の映画)
3.8
ラブラブ・ニート・ハイテクブティックホテル・イン・ユニバースなサイエンスフィクション。
劇場ブーストが効いていると思いますが、大味でもありつつ、展開の起伏も巧みで、楽しい時間を過ごせた。
テーマは、諸行無常的な「理想に捉われていては、今すべきことを見失う」のようで、余韻にジワリと残る。

宇宙浮遊がロマンチック。むしろこれがやりたくて映画作ったんじゃないかという助走から表現まで見事。
ある出来事の露呈からヒロインの絶望と怒りの、道徳的葛藤は良い。カットニスのパンチ力に圧倒です。

宇宙そのものの奥行きには思いのほか触れておらず、時空超越の味付けは少ないので、宇宙好きはちょっと物足りないかもしれません。

しかし重大な欠点も内包。孤独が嫌で愛したのか、根本的には純粋な愛情にはならない。二人しかいない状況で、受け入れるしか選択肢がないので、それを愛と言えるのかは疑問も残るし、サバイバル感、創意工夫感、阿吽の呼吸感、骨太感は薄い。





実はフィナーレ後にもっとユニークな表現が出来たんじゃないかな。3週間づつお互いが冬眠するとか、子供が生まれるとか、むしろ物語のその後にテーマの本質があるようにも思え、物語の切り取りどころが、この構成で正解だったかはわからない。