グラッデン

ちはやふる 下の句のグラッデンのレビュー・感想・評価

ちはやふる 下の句(2016年製作の映画)
4.0
東京都大会を優勝した瑞沢高校かるた部が全国大会に挑む。そして、千早は個人戦で競技かるたクイーン・若宮詩暢との試合に臨む。

先月公開の『上の句』が非常に充実していたので、個人的に良いインターバルの公開。物語としては、もちろん『上の句』の続きになりますが、描き方や人物の構図等でしっかりと色分けをしていたのは良かったと思います。

『上の句』は「チーム」=かるた部の成長に焦点を当ててジャンプイズム全開の青春映画としてハイテンションな盛り上がりを見せていましたが、これに対して『下の句』は「個人」の物語を中心に描き、じっくりと確かな一歩を踏み出すように登場人物たちの心境の変化を描いていたと思います。

『上の句』のハイなノリ、「解き放たれた」広瀬すずの躍動感が好きだという方には若干物足りなさはあるかもしれませんが、競技かるたに励むかるた部の仲間との交流・成長、主人公・千早を含む「チームちはやふる」の3人の心の揺らぎが物語の両輪であると考えてはおりますので、双方をしっかり描くことが大切だと思いますし、前・後編構成を活かしたアプローチの変化を作れたのも良い選択だったのではないかと。

一方、『上の句』と変わらないのは1つのキーワードからの物語の掘り下げ方、シナリオのまとめ方も良かったと思います。漫画原作の映画作品は、与えられた時間尺の中で採用するシナリオの取捨選択と繋ぎが重要であると昨年見た大根仁監督の『バクマン』でも感じていたので、原作未読ながらも終わりまで、よくまとまっていたと思います。

あと、公開前から注目していた松岡茉優さん演じるボスキャラ・若宮詩暢が最高でした。格上の威圧感はもちろん、ほつれのギャップ、スローも多い、かるた描写のフォームに「クイーン」感がありました。当初はベタなキャスティングではないかと思っていた節はあったのですが「大変申し訳ございませんでした」の言葉しか出ません(汗)

2部作の構成を活かして、色分けして描いておりましたので、セットで評価できる作品だったと思いますし、双方に良い味が出ていたと思います。早くも続編が決まったそうですが、若いキャストの皆さんのチームであり個人の成長を楽しみにしつつ、公開を待ちたいと思います。