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スパイダーマン:ホームカミングのbackpackerのレビュー・感想・評価

3.0
『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』にてMCUに登場したスパイダーマン。
(MarvelとSONYの間で「スパイダーマンを共有しよう」という交渉が成立したのは、ケヴィン・ファイギの交渉能力と『アメイジング・スパイダーマン』(以下、アメスパ)シリーズが興行的にコケた"おかげ"(という言い方はあまりに酷いのですが)。)
サム・ライミ監督版(以下、無印)とアメスパ、歴代スパイダーマン映画を踏まえた新たなピーター・パーカー像は、MCUバースならではの仕上がりに。
ベンおじさんのくだりを大胆にカットしたり、自分の正体を知っている友達(ネッド)を出したり……。多くの細かな演出を大胆に盛り込んでいくことで、単純な焼き直しではないオリジナリティあるティーンエイジャー・ハイスクールコメディ&アクション映画となりました。

また、同じディズニーの傘の下に属するSTAR WARSと、LEGOを解したコラボレーションをしているのは、現実世界との地続き感の醸成のみならず、親方ディズニーの威光がスムーズに反映していることが見てとれます。なるほどSONYのスパイダーマン映画ではあるものの、しっかりとMCU世界の一員となっているんだなと、じんわり感じさせられました。


はてさて、無印三部作が描いたスパイダーマンの物語は、まさしくヒストリー・オブ・スパイダーマンと言ってよい大変丁寧な作り。
その後リブートとなったアメスパでは、異なるバースの特色に振り切ることができず、無印と若干の差異がある……くらいの仕上げとしてしまったため、些か期待を下回る結果となってしまいました。
そこから、満を持してのMCU入りを果たし、単体映画を待望されていたトム・ホランド版新生スパイダーマンは、前任者の失敗を忘れてはいません。前述のような変更に代表される斬新な設定によって、リアルな現代の高校生としてのピーター・パーカーの物語に再構築。
MCUは、フェーズ2以降の各単体映画においてジャンル映画要素を入れるという試みをしてきましたが(例:『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』によるポリティカルサスペンスへの挑戦)、アベンジャーズは総じて成人していたため、ハイスクールジャンルに挑戦できませんでした。
それが、スパイディの登場で、遂に達成できたのです!いやー、よかったよかった。
それもこれも、ケヴィン・ファイギのSONYとの交渉等のおかげな訳ですが、その点は割愛。


MCUに合流したことで、さらにその活躍の範囲を拡大していくことになったスパイダーマン。
2022現在では、トム・ホランド主演のスパイダーマン映画新三部作が計画中である旨アナウンスされています。
次作『ファー・フロム・ホーム』公開後完全決裂したディズニー&MarvelとSONYの関係性が、良好な関係に戻ることができたのは、ひとえにトム・ホランドのおかげ。
この偉大なるスーパーヒーローの物語がまだまだ続いていくことを喜ぶと同時に、トム・ホランドのスーパーパワー(交渉手腕)に感謝。
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