曇天

スパイダーマン:ホームカミングの曇天のレビュー・感想・評価

4.5
また面白い映画がやってきた! やってきて早2か月見逃すところだった。
アメコミ映画の振れ幅すげえ。よーし今日も分析するぞー。

かなり没入型の映画だった印象。冒頭は今回のヴィランが誕生するまでの映画『アベンジャーズ』の後日談、マーベルロゴの後はスパイダーマンの撮影による『シビルウォー』の舞台裏。いつも通りマーベルシネマティックユニバースの世界観の中のお話ということを強く印象付けておきながら、徐々に15歳の高校生ピーターの日常に目線を下げていく。いじめっ子にからかわれたり好きな子に目を奪われたり、今友達との間でスターウォーズが流行ってるんだなってことが分かったり。放課後にはいそいそとヒーロー活動するんだけど、半分迷惑行為になっちゃっていまいち冴えない。学校では名前が無くても個性豊かな生徒キャラやお約束のイベントがどんどん出てきて、ヒーロー映画を観に来たと思ったらアメリカの高校生活に放り込まれていた。

それでもそこはアベンジャーズがいる世界の日常だから、友達に正体がバレた後は質問攻めにされ、女子は女子でアベンジャーズのメンバーを品定め、生徒に反省を促すビデオにはNYゆかりの有名人キャプテン・アメリカが出演…とネタは豊富。しっかり『アベンジャーズ』の出来事が起きている世界、なのにそこにはいたって平和な市民生活の風景がある。このギャップは、世界情勢が普段の日常生活にはあまり関係なく進行している感覚に近くてリアル。そしてこういったネタ使いはスピンオフの旨みで、本流とは切り離してるけど本流の設定を借りて世界観構築のため・ファンサービスのために使うことができ、知っていれば楽しみながらスムーズに入り込める。
もう一つは最新技術を駆使してる風の新スーツの存在で、これは今では既知のスパイダー能力の代わりになってる。悪戦苦闘しながらも実践で活かすまでに順応していく様がライド感に繋がる。

感覚的にX-menと『デッドプール』の関係に近いけど、バットマンのスピンオフコミック『ゴッサムアカデミー』が凄く似てる。バットマンのヴィランの娘である主人公がゴッサムシティにある寮生高校で起こる謎を探る学園ミステリーもので、これもお馴染みの設定を小出しにすることで没入感を誘う。
こういうバランスはやっぱり、スパイダーマン過去作でやったことはもう控えようという方向へ切り替えたことによるだろう。参考にサム・ライミ版では「シリアス路線」「市民の味方」「バレるかもしれない緊張感」等があったがその真逆。簡単に言っちゃえば「コミカル路線」「行って帰ってくる冒険譚」「大人との意見対立」等テーマだけなら色んな青春映画に当てはまる。

とにかく既視感半端ないスパイダーマンネタでこれだけ新味を持たせて没入させることのできた方向性・舵の切り方ということですよね。この映画のために『アベンジャーズ』があったの?と言いたくなるくらいお膳立てがスゴイ。
細かいネタは挙げればキリがなーい、みんなかわいい、情報過多で楽しかった。ネタバレに触れる考察と萌えポイントはコメントで。一番はワシントン記念塔パートですかねえ。ぐっときた。

※コメ編集出来ないのでここで追記…
動画漁ったらトムホの身体能力の高さよ。スーツ時は全部吹替えかと思ったけど、あれならバック宙くらい余裕だな。MJってイニシャルが合ってれば代替可能なの…? 向こうではゼンデイヤの方が有名だったのかも。
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