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スパイダーマン:ホームカミングのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.8
【マーベル・シネマのススメ】
SONY'sスパイダーマン・ユニバース⑦
マーベル・シネマティック・ユニバース⑯
〈MCU1〉
◆監督:
 ジョン・ワッツ
◆ゲスト大物俳優:
 マイケル・キートン
◆ヴィラン:
 バルチャー
◆アベンジャーズ出演メンバー:
 アイアンマン
 キャプテンアメリカ(カメオ)
◆ポスト・クレジット・シーン:
・収監されたバルチャーことエイドリアン・トゥームスが、獄中で再会したスコーピオンにスパイダーマンの正体を尋ねられ「知っていたらとっくに自分が仕留めている」と、ピーターを庇う。
・キャプテン・アメリカの教育ビデオが流れ、観客に対し「この後は何もない」と「第四の壁」越え

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で描かれた、アベンジャーズ同士の戦いに参加したことに興奮するスパイダーマンこと15歳の高校生ピーター・パーカーは、ニューヨークに戻ったあとも「アイアンマン」トニー・スタークからもらった特製スーツを駆使し、放課後の部活のノリで街を救う活動に勤しんでいた。
・そんなニューヨークの街にスタークに恨みを抱く謎の敵バルチャーが出現。ヒーローとして認められ、アベンジャーズ入りをしたいピーターは、トニーの忠告を無視しひとりで戦いに挑むが…。

〈見処〉
①ホームワークは待ってくれるが、
 この街は待ってくれない――
・『スパイダーマン: ホームカミング』は、マーベル・コミックのスーパーヒーロー「スパイダーマン」をベースに、2017年に製作されたスーパーヒーロー映画。スパイダーマンの実写映画の2度目のリブートであり、「マーベル・シネマティック・ユニバース」(MCU)の第16作目となる。
・新たな主人公ピーター・ピーターには『インポッシブル』のトム・ホランドを抜てきし、悪役のバルチャーを演じるのは『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のマイケル・キートン。監督は、ミュージックビデオ出身の新鋭ジョン・ワッツが務めている。
・本作副題の「ホームカミング」は、作中で描かれるアメリカの高校の学内パーティを差し、また、別の世界観で製作されていたスパイダーマンの実写映画が「ホームであるMCUに帰って来た」というダブル・ミーニングを意味している。
・三度目の実写映画化となった本作は、原作や以前の2つのシリーズで描かれたスパイダーマン誕生となる「特殊なクモに噛まれ超人的能力を得たこと」や「ベン叔父さんの死」を描いておらず、2016年公開のMCU作品『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にスパイダーマン/ピーター・パーカー先行登場した直後から始まる構成となっている。

②MCUとの合流
・ 2014年4月に公開された『アメイジングスパイダーマン2』は、製作費2億ドルを投じながら、世界興行収入7.09億ドル。サム・ライミ3部作の平均興収8.36億円からすると、かなりの期待外れの結果に終わる。
また、同年に公開されたMCU作品と比較すると、『マイティ・ソー ダーク・ワールド』(製作費:1.7億ドル/世界興収6.44億ドル)、『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』(2億ドル/7 .14億ドル)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(1.7億ドル/7.73億ドル)と、ソニー・ピクチャーズが、1998年にスパイダーマンの映画化権利を獲得した際に評価した「マーベルの二軍キャラクター」たちに並ばれていることに危機感を覚える。
・ソニー・ピクチャーズは、2014年6月から、マーベルとの交渉を開始。ソニーに権利を残したまま、2016年公開予定のMCU映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にスパイダーマンを登場させるなどを議論も、スタジオ間の交渉は一時決裂。ソニーはサム・ライミを新しい3部作の監督に戻すことも考えていたようだ。
・しかしながら、2015年2月にソニーはマーベル・スタジオとのパートナーシップを締結し、スパイダーマンをMCU作品として再リブートすること、マーベルのケヴィン・ファイギとエイミー・パスカルがそれらの製作を務めることが発表された。
・主演俳優の候補は、プロデューサーたちは1,500名以上の少年たちと面会。ナット・ウルフ、エイサ・バターフィールド、ティモシー・シャラメ、リアム・ジェームズ、ジュダ・ルイス、マシュー・リンツ、チャーリー・プラマー、チャーリー・ロウらの候補者の中から、トム・ホランドが本作の主役を演じると2015年6月に発表された。

③MCU作品とのトリビア
 (Wikipediaより抜粋)
・ヒーローたちによる被災地の後始末や整備、残されたヴィランの武装やビークルといったテクノロジーの回収・管理を行うためにスターク・インダストリーズとアメリカ政府が共同で設立した機関「ダメージ・コントロール局」。本作のヴィラン、バルチャーの武器密造は『アベンジャーズ』におけるニューヨーク決戦後の後始末に対するダメージ・コントロール局との軋轢が起因。
・本作冒頭でピーターが撮影したドイツでの出来事は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で描かれたもの。また、キャプテン・アメリカはソコヴィア協定に違反したとして、戦犯扱いされている。
・ミッドタウン高校の校長のモリタは『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』に登場したキャプテン・アメリカの戦友ジム・モリタの子孫であり、両者ともケネス・チョイが演じている。
・『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』冒頭でラムロウが装備していた右腕側のガントレットが、「ショッカーガントレット」に改良されて本作に登場。

④結び…本作の見処は?
◎: ディズニー傘下のマーベルスタジオと共同製作となった再リブート1作目。スパイダーマンとなった経緯を描かない大胆な設定により、「上映時間」「前シリーズとの不毛な比較」を省略出来ている。
◎: 高校生感溢れるストーリー展開は「親愛なる隣人」の相性を持つスパイダーマンに合っている。親友ネッドとの「ブロマンス」な関係も良い。
○:アイアンマン率いるスターク・インダストリーズによるスパイダースーツなど、最新鋭のテクノロジーが面白い。「スパイダーマンのスーツはどうやって作っている?」の謎も本作シリーズでは解消。
○: 元バットマン俳優マイケル・キートンによる、本作ヴィラン「バルチャー」は、決して強キャラではないが、その行動原理に納得出来る点が多く、ピーターと互いの正体に気づいた場面の尋常ではない緊張感は、正悪両方を演じた数少ない俳優の力量によるものだろうか?
(他ケースはトム・ハーディくらい?)。
○: 本作ヒロインに魅力はないが、『レスラー』マリサ・トメイ演じるメイおばさんを妖婉な存在としてリブート。大物若手女優ゼンデイヤを、本作ではサイドキャラクターとして配置させ、次作以降のヒロインMJとなる場面は、贅沢な無駄遣い(誉め言葉)。
▲: スパイダーマンの指導者役として、アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr.)が登場させる演出はあくまで控えめであるが、本作プロモーションは「アメコミ界のエース」スパイダーマンに格落ち感を与え、残念だったことを記憶。
▲: バルチャーとのラストバトル。スパイダーマンの正装コスチュームでないのが、至極残念。
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