まりか

しあわせへのまわり道のまりかのネタバレレビュー・内容・結末

しあわせへのまわり道(2014年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます


売れっ子書評家のウェンディは順風満帆な生活を送っていたが、ある日長年連れ添った夫が浮気相手のもとへ去っていく。遠くに住む娘に会いに行こうとするが、運転は夫に任せていたためかウェンディは全く運転が出来ない。しかし、これをきっかけにウェンディはインド人タクシー運転手であるダルサラームと出会う。文化や宗教が異なる彼女とダルサラームは交流を重ね、お互いに変化していく。

最初はウェンディ自身はダルサラームに運転をする約束をしたにも関わらず、あまりの傷心で辞めてしまう。しかし、ダルサラームは少しだけ運転席に乗ってみないかと誘い、最終的に運転をさせる。なかなか上手い誘い方というか、ダルサラームの教え方自体が大変上手い。褒める時はきっちり褒めて、教える時は冷静に助言をする。ウェンディはこういう人が教官にいてくれて良かったと思う。娘が挫折した時に、きちんと背中を押せるようになった事に成長を感じた。

しかし、主人公はウェンディだけではないくダルサラームにも焦点を当てる。

ダルサラームは仲間と共に家で甥を預かりながら生活をしていたが、不法移民を取り締まる警察が押しかけ、仲間は捕まってしまう。事あるごとに居住地とIDを見せながら暮らす日々だったが、妹が選んだ嫁のジャスリーンと結婚し暮らす事となる。最初は英語が出来ない上に、料理の口が合わないダルサラームは苛立つ。しかし、ウェンディのアドバイスによって距離が縮める事に成功する。

お互いがアドバイスをし合い、素直に認めて実行をする実に良い関係だった。

好きなシーン

・ウェンディが免許を取れたシーン。隣でソワソワするダルサラームが可愛い。

・信号で待っている時に、横断歩道を渡っている人がダルサラームを差別された時、窓を開けて怒るウェンディ。

・ウェンディがダルサラームと免許を取って、すぐに車を買いに行くシーン。
赤の車を選ぶが、迷いが生じてしまう。そこでダルサラームが「赤はインドでお祝いの色で、花嫁衣裳にも使われている。」と後押しした所。

・嫁が到着する前、ダルサラームがウェンディに「女の人に何をあげたらいいか」と聞くシーン。ウェンディのアドバイス通りに花と詩集をあげるが、ダルサラーム自身がラッピングをするのが可愛い。(逆にウェンディが、ダルサラームに何が欲しいかと聞いた所、運転後に支払った小切手と嬉しそうに言う所も可愛い。)

・ジャスリーンに大勢の友達が出来た所。(一時はどうなるかと思っていただけに、安心した。)


良いセリフもたくさんあったので、少し記録しておきます。

・「運転とは自由を手にする事だ。」

・「人間とは時に思いがけない行動に出る。」(ダルサラームが運転中、周囲の人に注意をするよう言うシーン)

・「悪い事は一瞬で起こる、それですべてを失うんだ。」(雷が鳴っている中での運転でウェンディがパニックになり、急ブレーキを踏んでしまう。そこで、後続車に追突されてしまうシーン。)

・「挫折したまま逃げてきたらいつまでも心に傷が残る。農場に戻って収穫までやり通しなさい、けじめをつけるの。」(ウェンディが農場に住む娘に対して言うシーン。1度卒業試験に落ちたウェンディだったが、その後もう一度受ける。)

良いセリフがたくさんあり、本当は記録しておけば良かったかなと後悔するくらい良い映画でした。とはいえ、移民問題は結構深刻でダルサラームのような境遇の人がたくさんいると思うと、胸が痛む。1日も早く何とかなればいいなと思う。
まりか

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