あきしげ

ブレイド・マスターのあきしげのレビュー・感想・評価

ブレイド・マスター(2014年製作の映画)
2.5

『レッドクリフ』のテレンス・チャンが製作する。
宮城や首都を護衛する“禁衛軍”に属する錦衣衛。
そこの所属する義兄弟の契りを交わした三人の男。

物語のカギを握る次兄、沈煉(しんれん)には、
台湾出身で中華圏にて活躍するチャン・チェン。
『レッドクリフ』や『グランド・マスター』など、
多くの話題作に出演し、監督デビューしています。

沈煉が下した一つの決断によって義兄弟の運命が変わります。
真実を知るのは彼だけで他の兄弟には一切話さず黙っていた。
だけど、その決断こそ後々に大きな問題に発展していきます。

苦悩の中で自分たちの将来を見据えた決断をした沈煉。
その葛藤をチャン・チェンは非常に上手く表現します。
更に彼は過去の過ちとロマンスの間でも葛藤していく。
長兄と弟に挟まれた彼が下した決断は正しかったのか。
それは物語を追っていけば自ずと分かっていくのです。

長兄で父と同じ官職を目指す廬剣星。
演じているのはワン・チエンユエン。
まさに兄という雰囲気を漂わせます。
ただ、物語の中では蚊帳の外にいる。
あとから真実を知って驚く役目です。
それでも長兄だから責任を取ります。
失敗は弟の責任でも甘んじて受ける。
義兄弟の中で武人らしい役割でした。

末弟で肺病を患っている靳一川。
演じるはリー・トンシュエです。
若さと青春を連想させるキャラ。
弱々しい中で強さを持っている。
小さなロマンスを展開させます。
ただ、彼には秘めた過去がある。
兄弟子の強請で金を取られます。
後にこの因縁は意味を持たせる。

歴史にも登場します魏忠賢。
演じるのはチン・スーチェ。
短い登場ながら強烈な個性。
ただ、宦官に見えなかった。

黒幕となります趙靖忠。
ニエ・ユエンが演じる。
ただの官職ではなくて、
錦衣衛よりも強いです。
あまり説得力ないけど。

男性陣はそれなり良い。
逆に女性陣は雑な扱い。

ヒロイン的な妓楼の周妙彤。
演じるのはリウ・シーシー。
別にいなくても問題はない。
それぐらい物語に関係ない。

魏忠賢の部下である魏廷。
演じるのはチュー・タン。
女性である必要性がない。
そもそもいらないキャラ。

このように本作は多くの登場人物がいる。
アクション、ロマンス、ドラマがあって、
物語は一見して複雑のように感じられる。

だけど、中身はツギハギという印象。
義兄弟三人分のエピソードを小分け。

次兄が優遇され、長兄は冷遇、末弟は中間。
長兄の中途半端な扱いは本当に可哀想です。

次兄の個別戦闘シーンはノーカットで魅せます。
長兄の個別戦闘シーンはカットした事後になる。
末弟の個別戦闘シーンは途中から見せています。

この違いはあまりにも可哀想だと感じました。
きっちりと三人分やったら尺が足りなくなる。
それは分かるけど小分けにした意味ないです。

だったら次兄だけに絞って物語を進めれば良かった。
だから結果として印象に残る場面がほぼありません。
アクションは普通、ロマンスはオマケ、ドラマは中途半端。
そもそも義兄弟の絆を見せるシーンが圧倒的に少ないです。
本作は義兄弟の物語だからしっかりと描くべきです。
視点を次兄に絞ってやれば良かったのではないかと。

RE-192
あきしげ

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