『レッドクリフ』のテレンス・チャンが製作する。
宮城や首都を護衛する“禁衛軍”に属する錦衣衛。
そこの所属する義兄弟の契りを交わした三人の男。
物語のカギを握る次兄、沈煉(しんれん)には、
台湾出身で中華圏にて活躍するチャン・チェン。
『レッドクリフ』や『グランド・マスター』など、
多くの話題作に出演し、監督デビューしています。
沈煉が下した一つの決断によって義兄弟の運命が変わります。
真実を知るのは彼だけで他の兄弟には一切話さず黙っていた。
だけど、その決断こそ後々に大きな問題に発展していきます。
苦悩の中で自分たちの将来を見据えた決断をした沈煉。
その葛藤をチャン・チェンは非常に上手く表現します。
更に彼は過去の過ちとロマンスの間でも葛藤していく。
長兄と弟に挟まれた彼が下した決断は正しかったのか。
それは物語を追っていけば自ずと分かっていくのです。
長兄で父と同じ官職を目指す廬剣星。
演じているのはワン・チエンユエン。
まさに兄という雰囲気を漂わせます。
ただ、物語の中では蚊帳の外にいる。
あとから真実を知って驚く役目です。
それでも長兄だから責任を取ります。
失敗は弟の責任でも甘んじて受ける。
義兄弟の中で武人らしい役割でした。
末弟で肺病を患っている靳一川。
演じるはリー・トンシュエです。
若さと青春を連想させるキャラ。
弱々しい中で強さを持っている。
小さなロマンスを展開させます。
ただ、彼には秘めた過去がある。
兄弟子の強請で金を取られます。
後にこの因縁は意味を持たせる。
歴史にも登場します魏忠賢。
演じるのはチン・スーチェ。
短い登場ながら強烈な個性。
ただ、宦官に見えなかった。
黒幕となります趙靖忠。
ニエ・ユエンが演じる。
ただの官職ではなくて、
錦衣衛よりも強いです。
あまり説得力ないけど。
男性陣はそれなり良い。
逆に女性陣は雑な扱い。
ヒロイン的な妓楼の周妙彤。
演じるのはリウ・シーシー。
別にいなくても問題はない。
それぐらい物語に関係ない。
魏忠賢の部下である魏廷。
演じるのはチュー・タン。
女性である必要性がない。
そもそもいらないキャラ。
このように本作は多くの登場人物がいる。
アクション、ロマンス、ドラマがあって、
物語は一見して複雑のように感じられる。
だけど、中身はツギハギという印象。
義兄弟三人分のエピソードを小分け。
次兄が優遇され、長兄は冷遇、末弟は中間。
長兄の中途半端な扱いは本当に可哀想です。
次兄の個別戦闘シーンはノーカットで魅せます。
長兄の個別戦闘シーンはカットした事後になる。
末弟の個別戦闘シーンは途中から見せています。
この違いはあまりにも可哀想だと感じました。
きっちりと三人分やったら尺が足りなくなる。
それは分かるけど小分けにした意味ないです。
だったら次兄だけに絞って物語を進めれば良かった。
だから結果として印象に残る場面がほぼありません。
アクションは普通、ロマンスはオマケ、ドラマは中途半端。
そもそも義兄弟の絆を見せるシーンが圧倒的に少ないです。
本作は義兄弟の物語だからしっかりと描くべきです。
視点を次兄に絞ってやれば良かったのではないかと。
RE-192