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疑惑のチャンピオンのKeNのレビュー・感想・評価

疑惑のチャンピオン(2015年製作の映画)
3.2
WATCHAにて。初見。

「大勢の選手たちはツール・ド・フランスを旅に例える。痛みと苦しみと忍耐の旅だ。神秘的な体験に近い。最終的には自分自身に立ち向かうものになる。」by デヴィッド・ウォルシュ

今朝 J SPORTSの無料放送で昨年の「ツール・ド・フランス」の模様を観ていたら、ツール絡みの映画を観たくなったので検索して見つけた作品。
最近になってロードバイクに乗り始めたばかりの新参者なので、サイクルロードレースなどのことはほとんど知らない。そんな自分でも「ツール・ド・フランス」という非常に規模の大きなロードレースが毎夏 フランスで行なわれていることだけは昔から知っている。そして、それがヨーロッパにおいては4年に一度行なわれるFootballのW杯同様の人気を誇るスポーツ・イベントであることも。

この作品はそのツール・ド・フランスにおいて、精巣がんを克服し、7年連続総合優勝という前人未踏の偉業を達成したにも関わらず、ドーピングが発覚しタイトルを剥奪されロードレース界から永久追放されたランス・アームストロングという選手の半生を描いたノンフィクション作品。

今更 ベン・ジョンソンやロシアの国家絡みのドーピング問題などの例を挙げるまでもなく、スポーツの世界は常にドーピングの影が付き纏い、かなり深刻な問題だ。ドーピングはフェアプレー精神に反するばかりではなく、時としてその副作用によりアスリートを死に追いやる。
にも関わらず、この作品にも描かれているように、様々な利害関係が絡むプロの世界では結果こそがすべてという考え方やアスリートたちの過剰なまでの競争心が強く蔓り、アスリートが、そしてチームドクターが、そしてチームぐるみ、挙句の果ては協会絡み…という具合に“闇の連鎖”が拡がっていく…。元々 ロードレースは紳士協定的な結び付きの強いスポーツだけに、尚更 厄介とも言えるかもしれない。

ただ、ドーピングに溺れてしまったランスを擁護するつもりは毛頭ないが、23日間にも及ぶ日程の中、全走行距離 約3300km、高低差2000m以上という過酷極まりないレースで、7年連続「マイヨ・ジョーヌ」を身に纏うことが出来たのは決してドーピングだけの力ではなく、ランス自身の並外れ努力や過酷なトレーニングの賜物であったことも間違いない。デヴィッド・ウォルシュの言う通り、ツール・ド・フランスは痛みと苦しみと忍耐のロードだ。ツール・ド・フランスの中継を観ていたら、その言葉の意味がよく分かる。

しかし、劇中 突然 The Ramonesの「Blitzkrieg Bop」が流れたのにはビックリした♪ あと、さり気なくダスティン・ホフマンが脇役で登場したのも…
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