スペクター

タンジェリンのスペクターのレビュー・感想・評価

タンジェリン(2015年製作の映画)
-
ハリウッドが見向きもしてこなかったロサンゼルスの一角、人種、性的マイノリティーの1日を描くドタバタ劇。

世界初の全編iPhone撮影が売り文句だけど、そうすることで素人でもカメラに緊張しないで演技に集中できるからで、話題性があって、かつ理にかなっているという。
メイン二人は素人だけど、脇を固めている俳優がテレビドラマで見たことある人達だった。

登場人物達の社会的地位は低く、しょうもない人ばっかで、終始揉めているんだけど、何とかカオスを収束させ、ラストはクリスマスらしい静寂が訪れる。
彼らを汚らわしい、みっともないと思う人もいるだろう。
けど、それがどうしたと。つらい現実があっても彼らは卑屈にならず、その日を一生懸命生きている、映画を見てる我々と何ら変わらないんだと言わんばかり。
世間一般の願望としてありがちな、貧乏な人はこうあって欲しいという枠には決してハマらない、ハマってやるものかという気概も感じた。

ある映画評論家の落語みたいっていう例えは言い得て妙。 人間の業を肯定し、少なくとも製作側が登場人物達を上から目線でジャッジしないスタンスがあると思う。

全然説教臭くない良質なポリコレ映画って感じ。
スペクター

スペクター