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タンジェリンのhasseのレビュー・感想・評価

タンジェリン(2015年製作の映画)
4.1
クリスマスイブのロサンゼルス、刑務所から出所したてのトランスジェンダー女子が繰り広げるドタバタ劇。

下ネタ満載のマシンガントーク、売春、薬物と治安悪い要素てんこ盛りだが、主人公の明るい破天荒キャラと軽快なテンポで、『ガルガンチュアとパンタグリュエル』的なファルスと化し、それをひたすら楽しめる極上の映画。

冒頭のドーナツ店の二人のTSの会話のくだらなさとテンポとノリはタランティーノぽさを感じる。

GSでの洗車中のblow jobを助手席から撮ったショットはカオティック…という言葉でも表せない(洗い流せない)独特の魅力に満ち溢れている。

日本のオネエタレントもしかりだが、TSの口調に乗せればお下品な下ネタも浮気話も何でもかんでもごった煮にして笑い飛ばせる話として語れる、不思議なパワーがある。

性的マイノリティがフィクションにおいて人権を確保されつつある今、彼ら・彼女らにまつわる思想を描くのでなく、本作のように彼ら・彼女らの語りでもって何かを描く作品が量産されていく方向へとシフトしていくべきだ。
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