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タンジェリンのKSatのレビュー・感想・評価

タンジェリン(2015年製作の映画)
3.8
ムショ帰りのトランスジェンダーの娼婦たちやストレート女性の売春婦、アルメニア移民のタクシー運転手のオッサンが一生ケンカしてるだけの、どうしようもない88分間。一体、何を見させられているのか。

まあ、「フロリダ・プロジェクト」同様、ショーン・ベイカーはアメリカのド底辺の世界の一番泥臭い人の営みを、人工着色料ギットギトのカラフルな画面で見せるのが大好きなんだね。

全編iphoneで撮られた画面は、ちょっと前のInstagramのフィルターみたいな質感。映し出されるLAの街並みは、GTA5の世界観そのもの。まあ、刺さる人には刺さるよな。

でも、よく観れば、ひたすらカレシの浮気相手を捜し回って色々なところを巡るプロットとか、主人公たちが敵対していたはずの売春婦となんやかんやで変な絆で結ばれる展開とか、意外とハリウッドの古典映画、もっというとホークス映画のようなつくりになっていることがわかる。そもそもホークスの映画といえば強い女たちだけど、これはそれをトランスジェンダーに置き換えて肯定しているのかもしれない。
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