完全なる中村倫也目当て。まさか鉄道の駅員さんとはね…役どころ最高じゃん。主演なのでじっくり堪能できます。
前半は、駅の遺失物預り所（撮影協力は小湊鉄道）で落とし物一つ一つを丁寧に扱い、持ち主に想いを馳せる物語（邦画としてはこれだけで優勝可能）。主人公の生活や人柄が十分わかったところで、後半は重苦しい物語に移行。半端なミステリー調で遠い記憶の中の真実を探っていく感じ。
全編通して台詞が少なく、情景描写や演技の長回しで説明するスタイルだから、ところどころ冗長ではある。でもこれくらいじっくり回してくれないと描かれなかったり読み取れないものもあるから、私は歓迎でした。ただ後半は話が暗い分、もう少しテンポが上がってほしかった。
「2組の兄弟の過去が〜」とあるが、兄弟関係については両者ともさほど踏み込まれなかった印象。
CMクリエイターである監督の趣味と実力全開という感じ。やり過ぎなほど綺麗な絵と、頻度少なめに使われるクラシック音楽、そこに中村倫也の穏やかさが乗っかる。
音楽に頼らないのはすごい。
中村倫也の素朴で丁寧な演技は日本人の至宝だなあ。にしても何でこんなに「弟」が似合うんでしょう。
以下も、主演級の俳優がズラリ。その中でもさすがの菅田将暉、一瞬の出番で全部かっさらっていった…。
テーマパークの閉鎖がまとう、独特の寂しさ。その情緒も話にうまく組み込まれていた。
最後、電話の相手を推測させるのがすごく良い。
エンディング、木村佳乃さんが唄ってる…！
