囚人13号

荒武者キートン/キートンの激流危機一髪!の囚人13号のレビュー・感想・評価

4.0
シチュエーション喜劇からフェアバンクス並の活劇へ。時代背景を踏まえるとキートン映画は確かに悉く西部劇というイメージがあるものの、敵対する両家の子供たちが愛し合ってしまうメロドラマは短編時代から幾つか。
しかしただの対立ではなく、万事休すに追い込まれた状況下でさえストーンフェイスを崩さず辛うじて意識を保っている彼の姿は無愛想な表情によって絶妙に哀れみが抑えられている。

後年のドキュメンタリーによると本作の激流シーンは合成を駆使して低地で撮影されたようだが、キートンが一瞬溺れかけて本気で慌てる様子がそのまま使われているらしい。しかしここまで喜劇が純化されてしまうともっと観たかったと嫌らしい欲が出る。
囚人13号

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